◆ 新薬情報 index

2014年3月製造販売承認

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■アテディオ配合錠■アビガン錠 200mg■アプルウェイ錠 20mg/デベルザ錠 2…■イクスタンジカプセル 40mg■エフィエント錠 2.5mg,3.75mg…■ザクラス配合錠 LD,HD■サムスカ錠 30mg■タペンタ錠 25mg,50mg,100m…■テノゼット錠 300mg■テビケイ錠 50mg■フォシーガ錠 5mg,10mg■ルセフィ錠 2.5mg,5mg■ロンサーフ配合錠 T15,T20■グラッシュビスタ外用液剤0.03% 5m…■スミスリンローション5%
■ スミスリンローション5%
1. 承認概要
新効能・新用量 2014年3月 / 2014年8月 発売
2. 薬効分類名
駆虫剤
3. 一般的名称
フェノトリンローション
4. 適応症
疥癬
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
スミスリンローションは、ダニの神経を麻痺させて殺虫作用を示すピレスロイド系化合物です。 フェノトリンは殺虫剤の成分としてアースレッドや待ち伏せタイプのゴキブリ駆除剤などで広く使われています。 従来からOTC医薬品で販売されている製剤の濃度を12.5倍濃くした製剤で、OTCから医療用への「逆スイッチ」といえます。 1回に1本丸々塗布して12時間後に洗い流し、1週間後に再度塗布することで卵からかえった幼虫も駆除します。
【背景】
これまでわが国では保険適応できる外用製剤がありませんでした。 海外では、本剤と同じピレスロイド系化合物であるペルメトリン外用薬が疥癬治療の第一選択薬として使用されています。
わが国ではOTC医薬品として1981年に承認されたフェノトリン 4mg/g製剤の「スミスリンパウダー」、1998年に承認された4mg/mL製剤の「スミスリンLシャンプータイプ」が「シラミの駆除」の効能で発売されてきました。 そのほかに、保険適用となっている外用薬のイオウ、内用薬のイベルメクチン(商品名ストロメクール)があります。 しかし、イオウは原末から院内製剤として調製する必要があり、皮脂欠乏性湿疹(イオウかぶれ)が生じやすく、治療効果は低いとされています。 また、保険適応外ですが外用薬のクロタミトン(商品名オイラックス)、試薬の安息香酸ベンジルやγ-BHCを基剤に混合した外用の特殊製剤などが使用されています。
2007 年に発行された『疥癬診療GL 第2版』(日本皮膚科学会)では、フェノトリンについて 「安全性が高いので、今後の疥癬に対する外用剤として開発が期待されている」と記載されています。
【疥癬とは】
疥癬はヒゼンダニが皮膚角質層に寄生することにより発症する皮膚感染症で、主な感染経路は接触感染です。 ヒゼンダニに感染してから臨床症状等が発現するまでの潜伏期間は1ヶ月から数ヶ月におよび、 この間は無症状であっても、ヒゼンダニを駆除しない限り治癒することはなく、感染源となります。 特に免疫機能の低下した人に感染しやすいため、乳幼児施設や高齢者施設等で集団感染が発生しています。
シラミとダニの違いについては、シラミは、ノミ、蚊、ハエと同様の6本脚で昆虫の仲間であり、ダニは、虫ではなく8本脚でクモの仲間です。
【用法・用量】
通常、1週間隔で、1回1本(30g)を頸部以下(頸部から足底まで)の皮膚に塗布し、塗布後12時間以上経過した後に入浴、シャワー等で洗浄、除去します。 (塗り残しのないように丸々1本使い切ります)
1回目の塗布でヒゼンダニを駆除し、1週間後に再度塗布して卵からかえった幼虫も駆除します。(卵は通常3~5日で孵化し、10~14日で成虫になります。)
ヒゼンダニを確実に駆除するため、少なくとも2回を行うこととされています。
【効果】
臨床試験において、2回目の有効率は92.6%でした。(有効とは、ヒゼンダニを検出できず、疥癬トンネルの新生がない場合です)
【副作用】
臨床試験での安全性評価対象症例102例中、臨床検査値の異常を含む副作用の発現は8例(7.8%)に認められました。 主な副作用は皮膚炎2例(2.0%)、AST(GOT)上昇2例(2.0%)、ALT(GPT)上昇2例(2.0%)でした。(承認時)
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1) 白色の乳液状製剤で特異なにおいがあります。
(2) ヒゼンダニを確実に駆除するため、少なくとも2回を行うこととされています。 2回目塗布以降は1週ごとに検鏡を含めて効果を確認し、再塗布を考慮します。
(3) 職員への感染の恐れがあります。特に夜間に強い痒みがあったら、疥癬の感染を疑って皮膚科を受診してください。
【患者さんへの説明例】
(1) ヒゼンダニの神経を麻痺させて殺虫作用を示すお薬です。
(2) 1回1本をくびから足底までの皮膚に塗布し、塗布後12時間以上経過した後に入浴、シャワー等で洗浄、除去します。 塗り残しのないように丸々1本使い切ります。
(3) 1回目の塗布でヒゼンダニを駆除し、1週間後に再度塗布して卵からかえった幼虫も駆除します。(卵は通常3~5日で孵化し、10~14日で成虫になります)
(4) 目、耳、鼻、口、尿道、膣、肛門等に入らないように注意してください。万一目に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗い流してください。
8. 製造販売元など
製造販売元:クラシエ製薬株式会社
お問合せ先:クラシエ製薬株式会社 医薬学術部  03-5446-3352
(文責 下平秀夫) 2014年6月/2015年2月更新