◆ 新薬情報 index

2014年7月製造販売承認

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■アレセンサカプセル 20mg,40mg■カナグル錠 100mg■ザイティガ錠 250mg■ジャカビ錠 5mg■スンベプラカプセル 100mg■ダクルインザ錠 60mg■デルティバ錠 50mg■ニシスタゴンカプセル 50mg,150m…■ラパリムス錠 1mg■スタレボ配合錠 L50,L100■アノーロエリプタ 7吸入用,30吸入用■クレナフィン爪外用液 10%■ドボベット軟膏
■ ドボベット軟膏
1. 承認概要
新医療用配合剤 2014年7月 / 2014年9月 発売
2. 薬効分類名
尋常性乾癬治療剤
3. 一般的名称
カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
4. 適応症
尋常性乾癬
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
外用配合剤としては初登場です。既存医薬品であるビタミンD3製剤のカルシポトリオール(ドボネックス)と、ステロイド製剤のベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP)を配合した軟膏です。 単剤ではそれぞれ尋常性乾癬治療剤として承認されています。配合剤とすることで、両剤の相加効果に加え服薬アドヒアランスの向上が期待できます。
混合する薬剤の組み合わせによっては、分離・変質などの配合変化が生じる可能性があります。 本剤は、水を含まない特別な基剤を開発することで、安定PH域の異なる2つの成分が分解されることなく安定を保つように製剤的に工夫されています。
【尋常性乾癬とは】
銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともない、境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出ます。乾癬の患者さんの90%位がこの尋常性乾癬です。まわりの人に感染する病気ではありません。
原因はまだ完全にはわかっていませんが、遺伝的素因に様々な環境因子である不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤などが加わると発症すると言われています。 欧米では頻度が高く、家族内発症が20~40%と高率ですが、日本では家族内発症頻度は4~5%であり、欧米に比べるとかなりの低率となっています。
悪化要因は、上気道感染などの感染症、擦ったりする機械的刺激、特殊な薬剤、仕事や家庭でのストレスなどがあげられます。逆に日光(紫外線)は乾癬に対し良い効果があります。
治療は通常外用薬からスタートします。外用薬はステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬が主に使われます。 内服薬としては、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサートなどです。これに紫外線療法を加えた3つが基本的な治療法です。 2010年からは、抗体療法という新しい治療が使えるようになりました。アダリムマブ(皮下注射)、インフリキシマブ(点滴注射)、ウステキヌマブ(皮下注射)がこの治療に該当します。
(参考:日本皮膚科学会ホームページ)
【承認状況】
2014年5月現在、欧州諸国や北米、中国など97ヵ国で承認されています。
【作用機序】
カルシポトリオールは活性型ビタミンD3誘導体として広く知られており、皮膚の再表層が厚くなる角化異常を抑制します。 ビタミンD受容体と結合することにより、細胞増殖抑制作用、細胞周期調節作用、細胞分化誘導作用、炎症性サイトカイン調節作用、および抗菌ペプチド調節作用を示すことが報告されています。
ベタメタゾンジプロピオン酸エステルはvery strongに分類され、抗炎症作用および強い血管収縮作用をもちます。
【用法】
通常、1日1回、患部に適量塗布します。1週間に90gを超える使用は行わないこと。
【副作用】
承認時までの国内臨床試験において、239例中9例(3.8%)に9件の副作用が認められました。 副作用の内訳は、毛包炎2件、膿疱性発疹、乾癬の悪化、色素脱失、肝機能異常、単純ヘルペス、末梢性浮腫および挫傷が各1件でした。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1) 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、疥癬、けじらみなどでは疾患が増悪するおそれがあるので使用できません。(禁忌)
(2) 1週間に90gを超える使用は行えません。
(3) 本剤は活性型ビタミンD3を含有しているので、血清カルシウム値が上昇する可能性があります。 また、高カルシウム血症に伴い腎機能が低下する可能性があるので、血清カルシウムおよび腎機能の検査を定期的に行います。
【患者さんへの説明例】
(1) 尋常性乾癬による皮膚が厚くなる角化異常を抑えるための活性型ビタミンD3誘導体と、 強い抗炎症作用をもつステロイド剤を配合しています。
(2) 化膿している部位、傷口には使用しないでください。
(3) 本剤使用後、顔面などへの付着を避けるため、よく手を洗ってください。また、使用直後のシャワーや入浴は避けてください。
8. 製造販売元など
製造販売元:レオ ファーマ株式会社
お問合せ先:協和発酵キリン株式会社 くすり相談窓口  0120-850-150
(文責 下平秀夫) 2014年10月