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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2019年9月 / 2020年1月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
キノロン系経口抗菌剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
ラスクフロキサシン塩酸塩錠 | ||
4. 適応症 | ||
<適応菌種> 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ) <適応症> 咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎 | ||
5. 類薬との比較 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、呼吸器と耳鼻咽喉科領域の感染症治療に特化し、低い血中濃度ながらも、口腔レンサ球菌や嫌気性菌に対して良好な活性を示します。 【承認状況】 海外では、本剤が承認されている国または地域はありません(2019年9月現在)。 【作用機序】 細菌のⅡ型トポイソメラーゼ(DNAジャイレース、およびトポイソメレースⅣ)を阻害することで、細菌のDNA複製が途中で停止し、殺菌的に作用します。 【用法・用量】 通常、成人にはラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与します。 【副作用】 感染症患者を対象とした国内臨床試験における安全性評価対象の531例中62例(11.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、下痢、好酸球数増加各7例(1.3%)、ALT上昇5例(0.9%)でした(承認時)。 なお、重大な副作用として、白血球減少症(0.2%)、間質性肺炎(0.2%)、ショック、アナフィラキシー、QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、低血糖、偽膜性大腸炎、アキレス腱炎・腱断裂などの腱障害、肝機能障害、横紋筋融解症、痙攣、錯乱・せん妄などの精神症状、重症筋無力症の悪化、大動脈瘤、大動脈解離(いずれも頻度不明)が注意喚起されています。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、禁忌です。 2.本剤はCYP3A4の基質であり、CYP3A4誘導剤との併用に注意が必要です。また、CYP2C8およびCYP3A4に対し阻害作用を示します。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、細菌の増殖を抑えることで感染症を治療します。 2.腹部、胸部、背部の痛み、空咳、息切れ、息苦しさなどが続く場合は、すぐに受診してください。 3.冷汗が出る、寒気、動悸、手足の震え、疲れやすいなど、いつもと異なる症状がみられた場合は、すぐに医師または薬剤師にご連絡ください。 【ここがポイント!】 12年ぶりに新しいキノロン系経口抗菌薬が登場しました。本剤は、肺炎球菌への抗菌活性と肺への組織移行を強化したレスピラトリーキノロンであり、適応症は呼吸器と耳鼻咽喉科領域に特化しています。誤嚥性肺炎の原因菌として知られている嫌気性菌のプレボテラ属にも適応を有しています。投与方法は1日1回1錠とシンプルで、腎機能低下患者に対する用量制限もありません。 初期のニューキノロン系抗菌薬は、DNAジャイレース阻害作用が主でしたが、本剤はDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVを同程度阻害するデュアルインヒビターであり、これらは殺菌作用の強さと耐性変異の起こしにくさを併せ持つといわれています。 既存のニューキノロン系抗菌薬と同様に、重大な副作用であるQT延長、心室頻拍、低血糖、偽膜性大腸炎、アキレス腱炎、痙攣などには注意が必要です。とくに、本剤は世界に先駆けてわが国で承認されていますので、市販後の安全性情報の収集に注力しましょう。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:杏林製薬株式会社 おお問合せ先:杏林製薬株式会社 くすり情報センター 0120-409341 |