◆ 新薬情報 index

2019年9月製造販売承認

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■フィアスプ注フレックスタッチ,注ペンフィ…■リティンパ耳科用250μgセット■アレジオンLX点眼液0.1%■ラスビック錠75mg■トリンテリックス錠10mg、20mg■ハルロピテープ8mg,16mg,24mg…■コララン錠2.5mg,5mg,7.5mg
■ フィアスプ注フレックスタッチ,注ペンフィル,注100単位/mL
1. 承認概要
新剤型 2019年9月 / 2020年2月 発売
2. 薬効分類名
超速効型インスリンアナログ注射液
3. 一般的名称
インスリン アスパルト(遺伝子組換え)
4. 適応症
インスリン療法が適応となる糖尿病
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は既存の超速攻型インスリン製剤のノボラピッド注を改良した製剤で、初期の吸収がより速くなり自然なインスリン分泌パターンに近づきました。食事開始前2分以内投与の他に、食事開始後20分以内投与も選択できます。

【承認状況】
海外において、米国では2017年9月、欧州では2017年1月にそれぞれ承認を取得し、これらを含む世界43カ国で承認されています(2019年6月現在)。

【作用機序】
本剤は、2001年より発売されているノボラピットと同じ成分ですが、ニコチン酸アミドを添加することにより、インスリンアスパルトの初期吸収を速めた製剤です。インスリンアスパルトは、インスリンB鎖28位のプロリン残基をアスパラギン酸に置換したインスリンアナログであり、インスリンレセプターと結合することにより、作用を発現します。

【用法・用量】
通常、成人では、初期は1回2~20単位を毎食事開始時(食事開始前2分以内)に皮下投与します。必要な場合は食事開始後20分以内の投与とすることもできます。投与量は、患者の症状および検査所見に応じて適宜増減しますが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日4~100単位です。

【副作用】
成人および小児1型糖尿病患者を対象とした第III相試験(4131試験、4101試験、3854試験)において、安全性評価対象症例1,438例中177例(12.3%)に239件の臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、低血糖24例(1.7%)、注入部位反応9例(0.6%)、注射部位反応4例(0.3%)、糖尿病網膜症7例(0.5%)、脂肪肥大症7例(0.5%)でした。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.投与のタイミングについて、食直前投与か食事開始後投与かを確認し、患者に適切な指導をしてください。
2.他の追加インスリン製剤から本剤へ切り替える場合、前治療で使用していた製剤と同じ単位数を目安とします。
3.血糖降下作用がこれまでの薬剤よりも速やかに発現するため、適切でないタイミングで注射すると低血糖を生じる可能性があります。低血糖を回避するため、薬剤師は今まで以上に患者さんの投与状況について確認・把握することが求められます。

【患者さんへの指導例】
1.本剤は、食後の自然なインスリン分泌パターンに近付ける作用により、食後血糖値の上昇を抑えて血糖コントロールを改善します。
2.通常は、食事開始前2分以内に注射してください。食事開始時に注射できなかった場合、あるいは食事前に食べる量がわからなかった場合は、食事開始から20分以内に注射してください。
3.血糖降下作用の発現が速いため、ほかの超速効型インスリンに比べて低血糖になりやすい可能性があります。冷や汗が出る、血の気が引く、手足の震えなど、低血糖が考えられる症状が発現した場合は、速やかに砂糖かブドウ糖が含まれる飲食物を摂取してください。

【ここがポイント!】
本剤は、投与後初期のインスリン吸収を早めて自然な食事時のインスリン分泌パターンに近付けることで、良好な血糖コントロールを得られることが期待されています。
基礎・追加インスリン療法(Basal-Bolus療法)とは、1日1~2回の持効型の基礎インスリンと、1日3回食事前に速効型または超速効型の追加インスリンを皮下投与する方法です。健康な人に近いインスリン分泌パターンを再現するため、厳格な血糖コントロールを行うことができると考えられています。
既存の超速効型製剤には、本剤と同成分であるインスリン アスパルト(商品名:ノボラピッド)のほか、インスリン リスプロ(同:ヒューマログ)、インスリン グルリジン(同:アピドラ)があります。
8. 製造販売元など
製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
お問合せ先:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 ノボケア相談室 0120-180363
(文責 下平秀夫) 2020年6月