◆ 新薬情報 index

2019年9月製造販売承認

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■フィアスプ注フレックスタッチ,注ペンフィ…■リティンパ耳科用250μgセット■アレジオンLX点眼液0.1%■ラスビック錠75mg■トリンテリックス錠10mg、20mg■ハルロピテープ8mg,16mg,24mg…■コララン錠2.5mg,5mg,7.5mg
■ ハルロピテープ8mg,16mg,24mg,32mg,40mg
1. 承認概要
新投与経路 2019年9月 / 2019年12月 発売
2. 薬効分類名
経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤
3. 一般的名称
ロピニロール塩酸塩
4. 適応症
パーキンソン病
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、嚥下能力の低下した患者や消化管障害がある患者にも使用でき、家族や介護者が管理しやすいパーキンソン病治療薬として期待されています。

【承認状況】
テープ製剤としては、2019年9月現在、海外では承認されていません。

【作用機序】
本剤は、非麦角系ドパミン受容体作動剤であり、脳内黒質一線条体系のドパミンD2受容体系を選択的に刺激することにより、抗パーキンソン病作用を示します。

【用法・用量】
通常、成人にはロピニロール塩酸塩として1日1回8mgから始め、必要に応じて1週間以上の間隔を空けながら8mgずつ増量します。胸部、腹部、側腹部、大腿部または上腕部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、年齢、症状により、1日量64mgを超えない範囲で適宜増減することができます。

【副作用】
国内臨床試験において、760例中478例(62.9%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、適用部位紅斑124例(16.3%)、適用部位そう痒感103例(13.6%)、傾眠86例(11.3%)、悪心80例(10.5%)、便秘46例(6.1%)およびジスキネジア43例(5.7%)などでした(承認時)。
なお、重大な副作用として、前兆のない突発的睡眠(0.7%)、極度の傾眠(頻度不明)、幻覚(3.6%)、妄想(0.4%)、興奮(0.1%)、錯乱(頻度不明)、せん妄(0.7%)などの精神症状、悪性症候群(頻度不明)が報告されています。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、禁忌です。
2.前兆のない突発的睡眠および傾眠等がみられることがあるので、本件について患者さんによく説明し、本剤使用中には自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事しないように注意します。(警告)
3.本剤の投与は少量から始め、消化器症状(悪心、嘔吐等)、血圧等の観察を十分に行いながら慎重に増量します。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は震えや筋肉のこわばり、日常生活動作・運動能力の低下などのパーキンソン病の症状を改善します。
2.お風呂の後などタイミングを決めて、毎日1回同じ時間に薬を貼ってください。新しい薬を貼る前には、必ず前回の薬を剥がしてください。
3.胸部、腹部、脇腹、太ももまたは上腕部のいずれかに貼りますが、かぶれなどを防ぐために毎回貼る場所を変えてください。かゆみやかぶれが現れたときは、医師や薬剤師に相談してください。
4.この薬は、貼っている部位の温度が上がると薬の作用が高まる恐れがあります。テープを貼った部分が過度の直射日光やあんか、カイロ、湯たんぽ、サウナなどで熱くならないようにしてください。
5.耐え難い眠気が突然現れることがあるため、この薬を使用中は自動車の運転や機械の操作、高所作業など、危険を伴う作業はしないでください。
6.医師の指示なしに使用量を変更・中止すると症状が悪化することがあるので、指示どおりに使用してください。

【ここがポイント!】
ロピニロールはパーキンソン病の治療薬として広く用いられている成分で、既存薬として内服薬の速放錠と徐放錠が発売されています。ロピニロールの経皮吸収型製剤である本剤は、「ロピニロール」を「貼る」ということからハルロピと命名されました。パーキンソン病に用いる経皮吸収型製剤としては、ロチゴチンパッチ製剤(商品名:ニュープロパッチ)に次ぐ2剤目となります。
パーキンソン病患者では、自律神経症状として胃排出能低下などの消化管障害が多いことが報告されています。そのため、経口薬では吸収が遅延して薬効の発現に影響し、オフ時間が生じることが懸念されています。本剤は経皮吸収型製剤であるため、消化管障害の影響を受けず、血中濃度が安定しやすいと考えられます。
副作用としては、現在すべてのドパミン作動薬の添付文書では、「重要な基本的注意」として突発的睡眠の注意喚起がなされています。また、これらの薬剤は急に減量または中止すると悪性症候群、薬剤離脱症候群が現れることがあるので、患者さんのアドヒアランス確保は薬剤師の重要な責務と考えられます。
投与量については、少量から使い始め、悪心、嘔吐などの消化器症状や血圧などを観察しながら、1週間以上の間隔を空けて増量します。本剤には5種類の規格があり、用量によっては2種類の規格が処方されることがありますので、貼り間違えることがないよう丁寧に説明しましょう。
テープには日付を記入することができ、使用状況を目視で確認できるため、家族や介護者が管理しやすいという利点があります。患者用資材では、貼付部位を10ヵ所に区分してローテーションする方法が示されていますので、それらの資料も活用するとよいでしょう。
8. 製造販売元など
製造販売元:久光製薬株式会社
販売元:協和キリン株式会社
お問合せ先:協和キリン株式会社 くすり相談窓口 0120-850-150
(文責 下平秀夫) 2020年3月