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1. 承認概要 | ||
新剤型・新用量 2013年6月 / 2013年9月※ 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
口腔粘膜吸収癌性疼痛治療剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
フェンタニルクエン酸塩 口腔粘膜吸収製剤 | ||
4. 適応症 | ||
強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛 | ||
5. 類薬との比較 | ||
<本剤について薬剤師国家試験が出題されています> 国試104回、問284-285 --------------------------- 問284 45歳男性。結腸がんによる結腸切除術後に全身に転移が見られ、処方1により疼痛コントロールを行っていた。今回、疼痛増悪による疼痛コントロール目的で入院となり、処方2に変更となった。 (処方1) オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠20mg 1回1錠(1日2錠) オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠10mg 1回1錠(1日2錠) 1日2回 8時、20時 14日分 オキシコドン塩酸塩水和物散10mg 1回1包 オキシコドン塩酸塩水和物散5mg 1回1包 疼痛時 10回分 (処方2) オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠40m 1回1錠(1日2錠) 1日2回 8時、20時 3日分 オキシコドン塩酸塩水和物散20mg 1回1包 疼痛時 5回分 入院時に薬剤師が行った痛みの評価では、「午後になると痛みが強くなる、NRS(Numerical Rating Scale):8/10」、「どのタイミングか不明だが突然痛みが出る。痛みが出始めるとすぐに強い痛みとなる、NRS:8/10」とのことであった。 処方2の薬剤服用開始後に行った評価は、「午後になると強くなる痛みは改善、NRS:3/10」、「突然痛くなる状況は変化がない、NRS:8/10」であり、この結果を受けて緩和ケアチームで患者の処方を検討することになった。 -------------------- 問284(実務) 緩和ケアチームの薬剤師は、オキシコドン塩酸塩水和物散からの処方変更を提案した。代替の薬剤として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。 1 フェンタニル経皮吸収型製剤 2 フェンタニルクエン酸塩舌下 3 モルヒネ硫酸塩水和物徐放性細粒 4 モルヒネ塩酸塩水和物坐剤 5 モルヒネ塩酸塩注射液 正解:2 (解説:レスキューの代替えが必要なので、1と3は除外され、この患者さんは経口投与可能なので4、5は除外されます。) -------------------- 問285(薬剤) 前問での提案の理由として最も適切なのはどれか。1つ選べ。 1 初回通過効果の回避 2 有効血中濃度の持続 3 速やかな薬効の発現 4 バイオアベイラビリティの改善 5 副作用の回避 正解:3 (解説:「突然痛くなる状況は変化がない」のでレスキュードーズを他剤に変更したい) | ||
6. 特徴 | ||
緩和ケアのレスキュードーズに用いる強オピオイド製剤で、口腔粘膜から吸収され、全身作用を期待するバッカル製剤です。上あごの歯茎と頬の間に投与すると口腔粘膜から吸収されます。 このため、消化器官に障害があったり、嚥下困難な患者への投与が可能となります。 一般的に、バッカル錠は口腔粘膜から徐々に吸収され全身作用を期待します。 一方トローチ剤は局所作用を期待、舌下錠は急速に吸収させて全身作用を期待します。 ※発売日... 50μg,100μg,200μg,400μg:2013年9月/600μg,800μg:2013年10月
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
(1) 速効性のがん性疼痛治療薬です。基本となるオピオイド鎮痛薬による疼痛治療中の突出痛(一時的にあらわれる強い痛み)に対してのみ用います。 (2) 口に含むとすぐに吸収されて、痛みを速く取り除きます。口腔粘膜から吸収させる製剤ですので、噛んだり舐めたりせずに使用してください。 (3) 1回あたりの投与錠数は4錠(左右の上顎臼歯の歯茎と頬との間に2錠ずつ)までとします。また、用量調節後は同じ用量の規格に切り替えて、1回1錠を投与することが望ましいです。 1日に4回を超える突出痛の発現が続く場合には、定時投与中の強オピオイド鎮痛剤の増量を検討します。 (4) 副作用で多いのは、眠気やめまい、吐き気や嘔吐、便秘などです。便秘に対しては下剤で対処します。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:帝國製薬株式会社 お問合せ先:大鵬薬品工業(株) 製品情報部 医薬品情報課 0120-20-4527 |