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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2015年9月 / 2015年11月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
持続性選択的DPP-4阻害剤―経口糖尿病用剤 ― | ||
3. 一般的名称 | ||
オマリグリプチン | ||
4. 適応症 | ||
2型糖尿病 | ||
5. 類薬との比較 | ||
既存の類薬としては、週1回投与のDPP-4製剤であるザファテックがあります。どちらも腎排泄型ですが、腎機能低下例への用量が異なります。マリゼブは、高度腎機能障害者・末期腎不全患者(eGFR<30)には投与量を半量に減量しますが、中等度腎機能障害患者では減量の必要はありません。それは、軽度および中等度腎機能障害患者に本剤25 mgを週1回投与したとき、腎機能正常患者と比較して臨床上問題となるようなリスクの増加傾向は認められなかったからです。一方ザファテックの場合には、中等度腎機能障害患者には投与量を半量に減量し、高度腎機能障害者・末期腎不全患者には禁忌となっています。 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 DPP-4阻害剤として9成分目の製剤で、週1回投与製剤としては2015年5月に発売されたザファテック錠(一般名:トレラグリプチン)に次いで2番目です。製品名の由来は、成分のオマリグリプチンの「mari」と、1週間のセブンをもじった造語「zev」をつないで命名されたそうです。 2型糖尿病の患者さんにとって治療と生活との両立はなかなか難しく、特に薬の決められた服用回数を守ることはとても難しいことです。本剤は服用回数が週1回であるため、糖尿病治療の導入期やアドヒアランスが低下している患者さん、および家族などが服薬管理している患者さん等にとって期待できる製剤です。 【承認状況】 2015年9月現在、海外で本剤の製造販売承認が認められた国および地域はなく、日本が世界で最初の承認国となります。 【作用機序】 本剤は、食後の高血糖時におけるインスリン分泌に関係するインクレチン分解酵素のDPP-4を阻害することで、インスリン分泌を促進して血糖降下作用を示します。 本剤は1週間にわたって血中濃度を維持できます。Tmaxは1.5時間と短いですが、t1/2は82.5時間と非常に長くなっています。その理由として、本剤は肝臓での代謝をほとんど受けず、未変化体として体内に幅広く分布され、分布容積が519Lと非常に大きいことと、濾過された本剤の大部分が尿細管で再吸収されて腸管循環を繰り返すことの2点が挙げられます。一方、同じ週1回投与製剤であるザファテックは、非常に低い濃度でも十分なDPP-4阻害作用を示すためであり、その理由が異なります。 【用法・用量】 通常、成人にはオマリグリプチンとして25mgを1週間に1回経口投与します。 【副作用】 2型糖尿病患者を対象に実施した臨床試験において、日本人1,084例中73例(6.7%)に副作用が認められました。主なものは低血糖症16例(1.5%)、便秘8例(0.7%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、低血糖、急性膵炎(類薬)、腸閉塞(類薬)があらわれることがあります。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 (1)重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者さんに対しては、輸液およびインスリンによる速やかな治療が必須となるため、禁忌です。 (2)インスリン注射による血糖管理が望まれる重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者さんには、本剤の投与は適さないため、禁忌です。 (3)本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能障害を合併する患者さんでは本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、重度腎機能障害のある患者さんや血液透析又は腹膜透析を要する末期腎不全患者さんに対しては、慎重に投与する必要があります。 【患者さんへの指導例】 (1)血糖を下げるお薬です。血糖値が高いときにインスリンを分泌させて、血糖を下げる作用があります。 (2)週1回服用するお薬です。指示された曜日に服用してください。 (3)他の糖尿病用薬と併用した場合に低血糖を起こすおそれがあるので、対処方法を知っておいてください。 (4)高所作業、自動車の運転等にはご注意ください。 (5)服用を忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用し、その後はあらかじめ定められた曜日に服用してください。ただし、同日中に2回分を服用しないでください。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:MSD株式会社 お問合せ先:MSD カスタマーサポートセンター 0120-024-961 |