◆ 新薬情報 index

2015年9月製造販売承認

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■ピートルチュアブル錠250mg,500m…■イフェクサーSRカプセル37.5mg,7…■ヴィキラックス配合錠■エクメット配合錠LD,HD■ザガーロカプセル0.1mg,0.5mg■マリゼブ錠12.5mg,25mg■ミティキュアダニ舌下錠3300JAU,1…■スピオルト レスピマット28吸入(,60…■ゼビアックスローション2% / 油性クリ…■ロコアテープ
■ イフェクサーSRカプセル37.5mg,75mg
1. 承認概要
新有効成分 2015年9月 / 2015年12月 発売
2. 薬効分類名
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
3. 一般的名称
ベンラファキシン塩酸塩徐放性カプセル
4. 適応症
うつ病・うつ状態
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
我が国で3番目のSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)であり、既存薬にはデュロキセチン塩酸塩(製品名:サインバルタ)とミルナシプラン塩酸塩(製品名:トレドミン)があります。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、セロトニンの再取り込み阻害によってセロトニンを増加させるので、不安や落ちこみに効果があります。一方SNRIは、セロトニンとともにノルアドレナリンも増加させるので、SSRIの効果に併せて、意欲や気力向上の回復も期待できるという特徴があります。本剤は、デュロキセチンよりもセロトニン作用比率が高いため、SSRIに近いSNRIといえます。SNRIのうちミルナシプランは効果が比較的弱いので、しっかりと効果が期待できるSNRIとしては、デュロキセチンに次ぐ2剤目ともいえます。

【背景】
我が国では、1959年から抗うつ薬として三環系抗うつ薬が使用されてきましたが、その後、四環系抗うつ薬が開発され使用されるようになりました。
さらに、1999年からSSRIが使用できるようになり、現在では4成分(5製剤)のSSRIが発売されています。また、2000年からはSNRIも使用されています。
SSRIやSNRI製剤は、三環系・四環系抗うつ薬と比べて、抗コリン作用(口渇、便秘など)や抗α1作用(起立性低血圧など)といった副作用が少なく、また、過量服用での危険性も少ないという利点があり、第一選択として使用されます。しかし、従来からの抗うつ薬に比べて効果がマイルドで鎮静作用がないことから、重症例では三環系抗うつ薬が使用されます。
ベンラファキシンは海外において1日2~3回の即放錠として発売されました。その後、1日1回の徐放カプセルである本剤が登場しました。

【承認状況】
1997年にスイスで承認されて以降、世界90以上の国と地域で承認されており(2015年4月現在)、海外ではすでにジェネリックも発売されています。既に海外では大うつ病性障害などの治療薬として浸透しており、米国の治療アルゴリズムでは、精神病性の特徴を伴わないうつ病治療の第一選択薬として、また他の第一選択薬には反応しないか、忍容性がないために治療変更を要する場合の第二選択薬としても推奨されています。

【作用機序】
SNRIは、セロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミントランスポーターに結合することにより、神経伝達物質がもとの神経細胞に再び取り込まれるのを阻害することで、脳内シナプス間隙におけるこれらモノアミンの濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。

【用法・用量】
通常、成人にはベンラファキシンとして1日37.5mgを初期用量とし、1週後より1日75mgを1日1回食後に経口投与します。なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減しますが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75mgずつ行います。

【副作用】
国内臨床試験において、本剤が投与された総症例1255例中1028例(81.9%)に副作用が発現しています。主な副作用は、悪心(33.5%)、腹部不快感(腹痛、膨満、便秘等)(27.2%)、傾眠(26.9%)、浮動性めまい(24.4%)、口内乾燥(24.3%)、頭痛(19.3%)です(承認時)。
SSRIやSNRIはセロトニン受容体刺激作用により消化管系の副作用(悪心、嘔吐)が特徴的で、投与開始後2週間以内に多くみられます。通常は一過性で自然軽快することが多いです。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1)重度の肝機能障害のある患者さん、重度の腎機能障害(糸球体ろ過量15 mL/min未満)のある患者さん又は透析中の患者さんには禁忌です。
(2)モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤のセレギリン塩酸塩(エフピー)は併用禁忌です。

【患者さんへの説明例】
(1)神経伝達物質を増やすことで、落ち込んだり、不安になったり、やる気がでないなどの症状を改善するお薬です。
(2)本剤は徐放性製剤であるため、カプセルの内容物を砕いたりすりつぶしたりせず、そのまま噛まずに服用してください。
(3)眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないでください。
(4)服用の初期において吐き気など胃腸症状が出ることがあります。
8. 製造販売元など
製造販売元:ファイザー株式会社
お問合せ先:ファイザー株式会社 製品情報センター 0120-664-467
(文責 下平秀夫) 2015年12月/2016年4月更新