◆ 新薬情報 index

2023年3月製造販売承認

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■フルミスト点鼻液■ゴービック水性懸濁注シリンジ■エムパベリ皮下注1080mg■アポハイドローション20%■リネイルゲル10%■ウゴービ皮下注0.25mg,0.5mg,…
■ リネイルゲル10%
リネイルゲル10%
1. 承認概要
新投与経路 2023年3月 / 2023年4月 発売(薬価未収載)
2. 薬効分類名
巻き爪治療用剤
3. 一般的名称
アセチルシステイン
4. 適応症
巻き爪矯正の補助
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、わが国初の巻き爪矯正の補助のための医療用医薬品です。長期間を要する巻き爪治療に本剤を併用することで、1回の治療で十分な矯正効果が得られるとともに、再発までの期間の延長が期待されています。

【承認状況】
海外では承認されていません(2023年3月現在)。

【作用機序】
本剤は爪の構成成分であるケラチンに含まれるジスルフィド結合を還元して開裂することで、爪を軟化させる働きがあります。

【用法・用量】
巻き爪に爪矯正具を装着後、本剤を爪甲全体に適量を塗布し、約24時間後に水または湯で洗い流します。
本剤の塗布は医師または看護師が実施しますが、約24時間後に洗い流す作業は患者自身で行うことが可能です。

【副作用】
第I/II相試験(M121101-02試験)および第III相試験(M121101-03試験)において認められた主な副作用は皮膚疼痛(1.7%)でした。


 
図・本剤と爪矯正具併用下での巻き爪に対する作用(本剤の医薬品インタビューフォームより引用)
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.併用する矯正具は、臨床試験では「巻き爪マイスター」が用いられていました。本剤は金属を腐食し、ニッケルを溶出させることがあるので、併用する矯正具との適合性を考慮する必要があります。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、爪の中に浸透して一時的に爪を軟化させることで、巻き爪の矯正具による治療をサポートします。
2.保護テープを剥がすまでは、患部を濡らさないようにしてください。入浴時はできるだけ湯船には入らずシャワーを利用し、ラップやビニールで足を保護してください。
3.塗布してから約24時間後に、矯正具は装着したまま保護テープを剥がして本剤を洗い流してください。
4.洗い流した後は、矯正具が外れないように、必要に応じて医療用テープで保護してください。
5.医師に指示された期間は矯正具を装着して治療を継続してください。
6.正しい爪切り、靴の選び方・履き方、歩き方に留意して生活しましょう。
【ここがポイント!】
巻き爪は爪甲の両側縁が内側に向かって過度に湾曲した状態となる疾患で、代表的な爪のトラブルの1つです。巻き爪を治療せずに放置すると、爪甲の湾曲が増強して痛みや炎症が生じるだけでなく、より難治性となることがあるため早期の治療が必要です。
巻き爪の治療として、超弾性ワイヤなどの矯正具を用いた保存的治療が広く行われています。しかし、治療には3~6ヵ月かかることもあり、より早期かつ効果的な巻き爪の矯正治療が望まれていました。本剤はアセチルシステインを含有するゲル剤で、爪の構成成分であるケラチンに含まれるシスチンのジスルフィド結合を還元して開裂することで爪を軟化させます。
本剤には皮膚刺激性があるため、塗布する際は患部周囲の皮膚をテープで保護します。矯正具を装着後に患部の爪全体に本剤を適量塗布してから、塗布した爪をテープで覆います。塗布24時間後を目途に矯正具が外れないように注意しながらテープを外し、水または湯で洗い流します。治療開始後1週間~1ヵ月で矯正治療の効果(痛みの有無や湾曲の程度)を確認し、矯正具の取り外しが可能かどうか判断します。
巻き爪とは、爪の端が内側に巻き込んだ変形のこと。
8. 製造販売元など
製造販売元:マルホ株式会社
お問合せ先:マルホ株式会社製品情報センター 0120-12-2834
(文責 下平秀夫) 2023年7月