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1. 承認概要 | ||
新効能・新剤型 2023年3月 / 2023年6月 発売(薬価未収載) | ||
2. 薬効分類名 | ||
原発性手掌多汗症治療剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
オキシブチニン塩酸塩ローション | ||
4. 適応症 | ||
原発性手掌多汗症 | ||
5. 類薬との比較 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤はわが国初の原発性手掌多汗症の適応を有する治療薬であり、いわゆる「手汗」を抑制することで、QOLの向上や労働生産性の改善が期待されています。 【承認状況】 海外では承認されていません(2023年3月現在)。 【作用機序】 本剤は、主にエクリン汗腺のムスカリンM3受容体を選択的に遮断する抗コリン薬です。エクリン汗腺のM3受容体を遮断することで発汗が抑制されます。 【用法・用量】 1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布します。1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分が目安です。 本剤は可燃性であるため、保存および使用の際には火気を避けます。 【副作用】 第III相比較試験において、下記の副作用が認められました。 1~5%未満:適用部位皮膚炎、適用部位そう痒感、適用部位湿疹、皮脂欠乏症、口渇 0.1~1%未満:適用部位紅斑、皮膚剥脱、口角口唇炎、尿中ブドウ糖陽性 なお、重大な副作用として、血小板減少、麻痺性イレウス、尿閉(いずれも頻度不明)が設定されています。
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版」において、原発性手掌多汗症に対する第1選択の治療法は、20%~50%塩化アルミニウム外用療法および水道水イオントフォレーシス療法とされています。しかし、塩化アルミニウム外用薬は保険適用外であり、イオントフォレーシスは患者自身による機器購入または機器を有する医療機関への通院が必要です。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、手のひらの皮膚から吸収され、エクリン汗腺の受容体をブロックすることで、発汗を抑えます。 2.1日1回、就寝前にポンプ5押し分を目安として、両手の手のひら全体に塗布してください。 3.起床後、手を洗うまでの間は、眼や塗布部位以外に触れないようにしてください。もし塗布時に眼に入った場合は、刺激や散瞳作用があるため、直ちに水で洗い流してください。 4.眼の調節障害やめまい、眠気が現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作を行う際には注意してください。 5.消化管運動が低下する恐れがあるので、消化器症状が現れた場合は使用を中止し、医療機関を受診してください。 6.妊婦または妊娠している可能性のある人は医師に相談してください。 【ここがポイント!】 本剤は、わが国初の原発性手掌多汗症に適応を有する薬剤です。原発性局所多汗症は、頭部・顔面、手掌、足底、腋窩に温熱や精神的負荷の有無に関わらず、日常生活に支障を来すほどの大量の発汗が生じる状態で、そのうち手掌部に発現するものが原発性手掌多汗症です。国内における原発性手掌多汗症の有病率は5.33%で、学習効率や労働生産性の低下、精神的苦痛、対人関係への悪影響など、患者のQOLが低下することがあります。 本剤の有効成分であるオキシブチニン塩酸塩は、エクリン汗腺に発現するムスカリンM3受容体に対して抗コリン作用を有することにより、抑汗作用を示します。本剤の代謝物であるN-デスエチルオキシブチニン(N-Desethyloxybutynin:DEO)も臨床効果に関与することが示唆されています。なお、オキシブチニン塩酸塩は、頻尿治療薬のポラキスやネオキシテープと同じ成分です。 12歳以上の原発性手掌多汗症患者284例を対象にした国内第III相比較試験において、投与4週後に発汗量が50%以上改善した患者の割合は、プラセボ群と比較して本剤群で有意に高いことが認められました。 本剤塗布から手を洗うまでの行動制限を可能な限り少なくするため、日中の塗布を避け、1日1回就寝前に塗布します。万一、塗布時に眼に入った場合は、散瞳作用および眼刺激性があることから、直ちに水で洗い流します。また、発汗を抑制するため、気温や湿度が高い場所や運動時などでも汗が出ず、体温が上がる恐れがあるため、熱中症対策も指導しましょう。なお、なお、1回の塗布量のポンプ5押し分は約0.5mLに相当し、最初の空打ち分を差し引くと、1本で約7日分に相当します。 手掌多汗症の患者のQOL低下はアトピー性皮膚炎やざ瘡よりも大きいという報告もあります。保険適用の治療選択肢が増えることは朗報です。
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8. 製造販売元など | ||
製造販売元:久光製薬株式会社 お問合せ先:久光製薬株式会社 お客様相談室 0120-381332 |