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2023年3月製造販売承認

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■フルミスト点鼻液■ゴービック水性懸濁注シリンジ■エムパベリ皮下注1080mg■アポハイドローション20%■リネイルゲル10%■ウゴービ皮下注0.25mg,0.5mg,…
■ フルミスト点鼻液
フルミスト点鼻液
1. 承認概要
新有効成分 2023年3月 / 2024年10月 発売(薬価未収載)
2. 薬効分類名
ウイルスワクチン類
3. 一般的名称
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン
4. 適応症
インフルエンザの予防
5. 類薬との比較

従来の不活性化ワクチン(皮下注)に加えて、今回生ワクチン(点鼻)が承認されました。
6. 特徴
<特徴>
我が国ではインフルエンザワクチンは皮下注が中心ですが、本剤は日本で初めて承認された経鼻投与型の弱毒生インフルエンザワクチンです。従来の注射によるインフルエンザワクチンとは異なり、鼻腔内に噴霧することで免疫を獲得します。鼻腔内に噴霧するタイプのワクチンのため、針で刺す必要がなく小児や子供の心理的・身体的負担の軽減も期待でき、注射部位の反応もありません。製品名の由来はインフルエンザ(Influenza)と噴霧(mist)を組み合わせたものです。

<承認状況>
海外では、2003年に米国で世界最初の承認を取得しています。我が国では、2023年3月に国内で承認されました。

<作用機序>
本剤中の弱毒生インフルエンザウイルスが鼻咽頭部で増殖し、自然感染後に誘導される免疫と類似した、局所及び全身における液性免疫、細胞性免疫を誘導すると考えられています。弱毒化により発症は引き起こしません。

<臨床試験>
2歳以上19歳未満の日本人健康小児を対象とし、フルミストまたはプラセボを鼻腔内噴霧した際のインフルエンザ発症予防効果を検証した第Ⅲ相試験の結果、発症者が28.8%減少しました(有効率28.8%)。

<副作用>
国内外の臨床試験において、重篤な有害事象の発現はみられていません。10%以上に認められた副反応として、鼻閉・鼻漏(59.2%)、咳嗽、口腔咽頭痛、頭痛などが報告されています。

<用法・用量>
2歳以上19歳未満の者に、0.2mLを1回(各鼻腔内に0.1mLを1噴霧)、鼻腔内に噴霧します。
 

フルミスト点鼻液使用方法より転載
7. 使用上の注意と服薬支援
<患者さんへの指導例>
1.経鼻投与型のインフルエンザワクチンです。本剤の接種によりインフルエンザウイルスに対する抗体ができ、かかりにくくなります。 
2.発熱している方、免疫抑制剤を服用している方は使用できません。
3.接種当日は激しい運動をさけてください。 接種直後と接種後5~14日の間は、健康状態によく気をつけてください。
4.ワクチン接種の際、被接種者が積極的に吸入(鼻ですする)する必要はありません。 
5.本剤接種後は、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、頭痛などの症状が現れることがあります。まれにショックなどの重大な副反応が現れることもあるため、症状がみられた際には受診してください。
6.ワクチン接種を受けた人から周りの人へウイルスが伝染する可能性があるため、接種後1~2週間は、重度の免疫不全者との密接な接触は避けてください。
7.妊娠可能な人は、接種後約2か月間は避妊してください。
8.感染を予防するために、手洗い、うがい、マスク着用、加湿といった日頃の生活での予防が大切です。

<薬剤師への注意事項>
1.本剤は安定剤として精製ゼラチンを含有しています。ゼラチン含有製剤の接種により、ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれたとの報告があるので、問診を十分におこなう必要があります。
2.生ワクチンのため、免疫抑制状態の方や妊婦への接種は避けるべきです。
3.鼻水が多い方や泣いてしまう小児では、ワクチンが鼻腔内にうまく入らず効果が弱まる可能性があります。
4.医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。

<ここがポイント!>
インフルエンザ感染で問題となる患者さんのは多くは高齢者ですが、インフルエンザ脳症、中耳炎、熱性けいれんなど乳幼児での重篤な合併症の報告も多くなっています。インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症を予防し、インフルエンザ感染に関連した重度合併症を防ぐ主要な手段です。
★なお、本剤は保険給付の対象となりません。

<日本小児科学会の推奨について>
2024年9月に日本小児科学会より「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」~医療機関の皆様へ~が発表されました。
2〜19歳未満に対しては、不活化インフルエンザHAワクチンと経鼻弱毒生インフルエンザワクチンを同等に推奨していますが、喘息患者、授乳婦、周囲に免疫不全患者がいる場合は不活化インフルエンザHAワクチンを推奨しています。また、生後6ヵ月〜2歳未満、19歳以上、免疫不全患者、無脾症患者、妊婦、ミトコンドリア脳筋症患者、ゼラチンアレルギーを有する患者、中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある患者に対しては、不活化インフルエンザHAワクチンのみが推奨されています。
8. 製造販売元など
製造販売元:第一三共株式会社
お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132
(文責 下平秀夫) 2024年10月