◆ 新薬情報 index

2019年6月製造販売承認

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■アジマイシン点眼液1%■ロズリートレクカプセル100mg,200…■ビレーズトリエアロスフィア56吸入■ロナセンテープ20mg,30mg,40m…■イナビル吸入懸濁用160mgセット■ゾルトファイ配合注フレックスタッチ
■ イナビル吸入懸濁用160mgセット
1. 承認概要
新剤型 2019年6月 / 2019年10月 発売
2. 薬効分類名
長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤
3. 一般的名称
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
4. 適応症
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、吸入力が弱く、既存の吸入粉末薬の使用が困難だった小児や高齢者などにも自発呼吸で吸入可能な1回完結型のインフルエンザ治療薬として期待されています。

【承認状況】
海外では、2019年1月時点で、本薬を含む製剤は承認されていません。

【作用機序】
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物ラニナミビルは、A 型及び B 型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制します。

【用法・用量】
成人および小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与します。なお、既存の吸入粉末薬とは異なり、予防投与としては使用できません。

【副作用】
国内で実施された第III相試験において、安全性評価対象症例441例中9例(2.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、下痢・嘔吐が各2例(0.5%)、便秘・悪心・虚血性大腸炎が各1例(0.2%)でした。インフルエンザ異常行動・言動に該当する有害事象は1例(気分変化)に認められましたが、本剤との因果関係は「関連なし」と判定されています。
なお、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、気管支攣縮、呼吸困難、異常行動、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、多形紅斑(いずれも頻度不明)が吸入粉末薬で認められている重大な副作用として注意喚起されています。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.ジェット式ネブライザを使用して吸入するため、通常は吸入用機器(コンプレッサー)を設置している病院で使用されることが想定されます。
2.凍結乾燥製剤の溶解に用いる生理食塩水、シリンジ、注射針などは、医療施設で用意する必要があります。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることで、インフルエンザの症状を緩和します。
2.吸入時は、吸入マスクを口元にあててリラックスしながら、深く口で呼吸してください。
3.小児が泣いたり暴れたりして吸入の継続が困難になった場合、いったん機械を止めて、落ち着いてから吸入を再開してください。霧が出なくなったら終了です。
4.インフルエンザにかかった時は、薬の有無や種類を問わず飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあります。発熱から少なくとも2日間は、窓の鍵を確実にかけるなど、転落などの事故に対する防止対策を徹底してください。

【ここがポイント!】
同成分の既存の剤形として吸入粉末薬がありますが、今回ネブライザで吸入するタイプの製剤が発売されました。本剤は、吸入力が弱い小児や高齢者でも十分量の吸入が期待できます。
吸入粉末薬と異なる点として、添加剤に乳糖が含まれないので、乳糖不耐症や乳製品アレルギーなどの患者に対しても使用できます。また、年齢に応じた用量の設定はありません。本剤は、従来の吸入容器による吸入手技を必要としないため、医療機関の感染予防対策にも有効と考えられます。
8. 製造販売元など
製造販売元:第一三共株式会社
お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132

更新: 2023/04インフルエンザ治療・予防指針に基づいた図に変更しました。
(文責 下平秀夫) 2019年12月/2024年7月更新