◆ 新薬情報 index

2019年6月製造販売承認

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■アジマイシン点眼液1%■ロズリートレクカプセル100mg,200…■ビレーズトリエアロスフィア56吸入■ロナセンテープ20mg,30mg,40m…■イナビル吸入懸濁用160mgセット■ゾルトファイ配合注フレックスタッチ
■ アジマイシン点眼液1%
1. 承認概要
新投与経路 2019年6月 / 2019年9月 発売
2. 薬効分類名
15員環マクロライド系抗生物質点眼剤
3. 一般的名称
アジスロマイシン水和物
4. 適応症
〈適応菌種〉
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、コリネバクテリウム属、インフルエンザ菌、アクネ菌
〈適応症〉
〇結膜炎
〇眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤はわが国で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬で、結膜、角膜、眼瞼への移行性や滞留性が良好なため、少ない点眼回数で眼感染症の治療が可能となります。

【承認状況】
海外では、本剤を1%含有する点眼剤が、米国、韓国およびカナダでそれぞれ2007年4月、2008年12月および2009年3月に承認されています。

【作用機序】
本剤は、15員環マクロライド系抗菌点眼剤で、細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、細菌のタンパク合成を阻害することで抗菌作用を示すと考えられています。
添加剤として、両親媒性の合成高分子化合物ポリカルボフィルが配合されたDDS製剤であり、結膜、角膜、眼瞼への移行性及び滞留性が良好であることが認められています。

【用法・用量】
《結膜炎》
通常、成人および7歳以上の小児には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回5日間点眼します。
《眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎》
通常、成人には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回12日間点眼します。

【副作用】
細菌性結膜炎を対象とした国内第III相試験(3-01、3-06)と細菌性の眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎を対象とした国内第III相試験(3-02)の3試験において、アジスロマイシン点眼液が投与された安全性評価対象726例のうち、73例(10.1%)に副作用が認められました。
主な副作用は、眼刺激32例(4.4%)、眼そう痒症9例(1.2%)、眼痛7例(1.0%)、点状角膜炎5例(0.7%)でした。
なお、重大な副作用として、角膜潰瘍などの角膜障害(頻度不明)、ショック、アナフィラキシー(頻度不明)が報告されています(承認時)。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.耐性菌の発現等を防ぐため、用法および用量をしっかり守るよう患者さんに指導してください。
2.角膜潰瘍等の角膜障害に注意が必要です(RMP:重要な特定されたリスク)。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、細菌の増殖を抑える作用により、目の感染症を治療します。
2.薬を使用中に目の異物感、目の痛みなどの症状が現れた場合は、ただちに投与を中止して受診してください。
3.開栓前は冷蔵庫、開栓後は室温で保管し、高温環境下や直射日光が当たる場所での保管は避けてください。
4.点眼後、しばらく目がぼやけることがあるので、視界がはっきりするまで安静にしてください。
5.ベトベト感が気になる場合は、朝の洗顔や入浴前に点眼して、点眼後5分以上経過したら、目の周りに付いた薬液を洗い流すとよいでしょう。
6.決められた日数を点眼した後は薬剤を廃棄し、再使用はしないでください。

【ここがポイント!】
本剤は、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬として発売されました。マクロライド系としては、過去2016年までエコリシン点眼(エリスロマイシン・コリスチン配合)が販売されていました。既存の抗菌点眼薬は1日3~5回投与なので日中の点眼が難しいこともありましたが、本剤は1日1~2回と少ない点眼回数での治療が可能です。
点眼方法は、初日と2日目は1日2回、3日目以降は1日1回を、結膜炎では7日間、眼瞼炎・麦粒腫(俗にいう「ものもらい」)・涙嚢炎では14日間継続します。処方箋に点眼日数が記載されていない場合は、疑義照会で確認しなければなりません。
本剤は、成分の滞留性向上のために、添加剤にポリカルボフィルが配合されたDDS製剤です。粘性が強いので、キャップをしたまま容器を下に向けて数回振り、薬液をキャップ側に移動させてから点眼します。点眼後しばらくは視界がぼやけることがあるため、転倒しないように注意が必要です。目の周りのベトベト感が気になる場合は、点眼後5分ほど経過したら目の周りを洗い流してよいことを伝えましょう。
なお、2種類以上の点眼薬を併用する場合には、本剤を最後に点眼することで、他の点眼薬への影響を減らすことができます。
近年、薬剤耐性菌およびそれに伴う感染症の増加が国際的に問題となっていることから、厚生労働省より「アジスロマイシン水和物点眼剤の使用に当たっての留意事項について」が発出されています。患者さんには、残存菌による再発や耐性菌獲得リスクの点から、自覚症状がなくなっても決められた点眼日数を必ず守るように指導しましょう。
8. 製造販売元など
製造販売元:千寿製薬株式会社
販売元:武田薬品工業株式会社
お問合せ先:千寿製薬株式会社 カスタマーサポート室 0120-069-618
(文責 下平秀夫) 2019年12月