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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2019年3月 / 2019年5月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
リサンキズマブ(遺伝子組換え) | ||
4. 適応症 | ||
既存治療で効果不十分な下記疾患 尋常性乾癬,関節症性乾癬,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症 | ||
5. 類薬との比較 | ||
■乾癬に対する適応を持つ生物学的製剤の例 ・抗IL-23p19抗体製剤:トレムフィア(8週間に1回 皮下注) ・抗IL-12/23p40抗体製剤:ステラーラ(12週間に1回 皮下注) ・抗IL-17A抗体製剤:トルツ(4週に1回 皮下注) ・抗TNFα抗体製剤:レミケード(8週間に1回 静注) | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、初回および4週時の後は12週ごとに皮下投与する薬剤です。わが国で乾癬に適応をもつ生物製剤のうち、最も投与頻度が少ない(2度目より12週間隔)製剤です。 【承認状況】 本剤は日本において世界で初めて承認されました。海外では、米国で審査中です(2019.3現在)。 【作用機序】 近年、乾癬について免疫学に進歩し、特にTh17というTリンパ球の一部が、乾癬の皮疹形成に関与していることが明らかになりました。本剤は、マクロファージ等の産生するインターロイキン23(IL-23)p19を特異的に阻害するモノクローナル抗体製剤であり、IL-23からTh17への情報伝達を抑制します。その結果、Th17関連の炎症反応が抑制され、乾癬の症状が緩和されると考えられています。 【用法・用量】 通常、成人にはリサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与します。なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができます。 【副作用】 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の患者を対象とした国内外の臨床試験(国際共同試験3件、国内試験2件:n=1,228)で報告された全副作用は219例(17.8%)でした。主な副作用は、ウイルス性上気道感染27例(2.2%)、注射部位紅斑15例(1.2%)、上気道感染14例(1.1%)、頭痛12例(1.0%)、上咽頭炎10例(0.8%)、そう痒症9例(0.7%)、口腔ヘルペス8例(0.7%)などでした。150mg投与群と75mg投与群の間に安全性プロファイルの違いは認められていません。 なお、重大な副作用として、敗血症、骨髄炎、腎盂腎炎、細菌性髄膜炎などの重篤な感染症(0.7%)、アナフィラキシーなどの重篤な過敏症(0.1%)が報告されています。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.重篤な感染症の患者は、症状を悪化させるおそれがあるため禁忌です。 2.活動性結核の患者は、症状を悪化させるおそれがあるため禁忌です。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、乾癬の原因となるIL-23の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。 2.体内の免疫機能の一部を弱めるため、ウイルスや細菌などによる感染症にかかりやすくなります。感染症が疑われる症状(発熱、寒気、体がだるい、など)が現れた場合には、速やかに医師に連絡してください。 3.この薬を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹、風疹、麻疹・風疹混合、水痘、おたふく風邪など)の接種はできないので、接種の必要がある場合には医師に相談してください。 4.入浴時に体をゴシゴシ洗ったり、熱い湯船につかったりすると、皮膚に過度の刺激が加わって症状が悪化することがありますので避けてください。 5.風邪などの感染症にかからないように、日頃からうがいと手洗いを心掛け、体調管理に気を付けましょう。インフルエンザ予防のため、流行前にインフルエンザワクチンを打つのも有用です 【ここがポイント!】 乾癬の治療として、以前より副腎皮質ステロイドあるいはビタミンD3誘導体の外用療法、光線療法、または内服のシクロスポリン、エトレチナートなどによる全身療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。 現在発売されている生物学的製剤は、本剤と標的が同じグセルクマブ(商品名:トレムフィア)のほか、抗TNFα抗体のアダリムマブ(同:ヒュミラ)およびインフリキシマブ(同:レミケード)、抗IL-12/23p40抗体のウステキヌマブ(同:ステラーラ)、抗IL-17A抗体のセクキヌマブ(同:コセンティクス)およびイキセキズマブ(同:トルツ)、抗IL-17受容体A抗体のブロダルマブ(同:ルミセフ)などがあります。また、2017年には経口薬のPDE4阻害薬アプレミラスト(同:オテズラ)も新薬として加わりました。治療の選択肢は大幅に広がり、乾癬はいまやコントロール可能な疾患になりつつあります。 本剤の安全性に関しては、ほかの生物学的製剤と同様に、結核の既往歴や感染症に注意する必要があります。本剤の投与は基本的に医療機関で行われると想定できますので、薬局では併用薬などの聞き取りや、生活指導で患者さんをフォローしましょう。 本剤は、初回および4週後に投与し、その後は12週ごとに投与します。国内で承認されている乾癬治療薬では最も投与間隔が長い薬剤の1つとなります。通院までの間の体調を記録する「体調管理ノート」や、次回の通院予定日をLINEの通知で受け取れる「通院アラーム」などのサービスの活用を薦めるとよいでしょう。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:アッヴィ合同会社 お問合せ先:アッヴィ合同会社 くすり相談室 0120-587-874 |