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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2019年3月 / 2019年5月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
前立腺癌治療剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
アパルタミド | ||
4. 適応症 | ||
遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌 | ||
5. 類薬との比較 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんの適応で、2019年3月26日に承認されました。本剤を服用することで、去勢抵抗性前立腺がん患者の無転移生存期間を延長し、臨床症状の悪化を遅らせることが期待されています。 【去勢抵抗性前立腺がん】 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、ホルモン療法により、男性ホルモンの分泌が抑えられているにもかかわらず悪化する前立腺がんです。医学的には、「男性ホルモンを抑える治療(手術療法やホルモン療法)が行われ、血液中の男性ホルモン(血清テストステロン)の値が50ng/dL未満と非常に低いにもかかわらず、病勢が悪化したり、腫瘍マーカーであるPSAの値が上昇している状態」と定義されています。わが国では、前立腺がん患者の約90%が遠隔転移を有しない局所進行性、または限局性前立腺癌患者とされています(厚生労働省 平成26年患者調査)。 【承認状況】 海外では、米国で2018年2月に承認され、2018年10月時点において、CRPCに関する効能・効果にて、5ヵ国で承認されています。 【作用機序】 次世代型の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤であり、アンドロゲン受容体(AR)に選択的に結合し、ARのシグナル伝達を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。 【用法・用量】 通常、成人にはアパルタミドとして1日1回240mgを経口投与し、患者の状態により適宜減量します。なお、痙攣発作やGrade3または4の副作用が発現した場合には、添付文書に記載の基準を考慮して、本剤を休薬、減量または中止する必要があります。 【副作用】 国際共同第III相試験において、本剤が投与された安全性評価対象例803例(日本人34例を含む)のうち、565例(70.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、疲労181例(22.5%)、皮疹123例(15.3%)、甲状腺機能低下症38例(4.7%)、そう痒症33例(4.1%)、体重減少27例(3.4%)でした(承認時)。 なお、重大な副作用として、痙攣発作(0.1%)、心房細動(0.2%)、心不全(0.4%)、心筋梗塞(0.2%)などの心臓障害、多形紅斑(0.2%)などの重度の皮膚障害が報告されています。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.てんかん等の痙攣性疾患または既往歴のある患者、脳損傷等の痙攣を起こしやすい患者は痙攣を誘発する恐れがあるため、慎重投与です。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、男性ホルモンの働きを抑えることで、前立腺がんの進行を抑制します。 2.痙攣発作が現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際は注意してください。 3.発熱や皮疹、かゆみ、動悸、足のむくみなどが現れた場合には、医師・薬剤師に相談してください。 4.皮膚を清潔に保ち、刺激を避け、保湿などのスキンケアを心掛けてください。 【ここがポイント!】 前立腺がんは中高齢男性に多く、2025年には男性のがん罹患率のなかで最も高くなると予測されています。治療は、アンドロゲンの働きを抑えるホルモン療法が主に行われますが、ホルモン療法に抵抗性を示した場合、あるいは外科的去勢後に症状が増悪した場合は予後不良の「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」となります。 CRPCに対する既存の抗アンドロゲン薬は、アンドロゲン合成酵素阻害薬のアビラテロン(商品名:ザイティガ)、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬のエンザルタミド(同:イクスタンジ)が発売されており、本剤はエンザルタミドに次ぐ2剤目の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬です。 CRPCでは、約80%の患者が最終的に骨転移すると言われており、転移を遅延または予防することが重要です。海外と共同で行われた臨床試験では、プラセボと比較して、本剤の投与により無転移生存期間を延長し、遠隔転移と死亡リスクを低下させることが認められています。 重大な副作用としては、痙攣発作、重度の皮膚障害、うっ血性心不全などが挙げられています。日本人では皮疹が発生しやすいと言われているため、保湿剤によるスキンケアなどの生活指導によって、副作用による患者のQOL低下を防ぐことが大切です。 なお、本剤は2019年7月現在、「転移性去勢感受性前立腺がん」に対して、適応拡大承認の申請中です。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社 プロモーション提携:日本新薬株式会社 お問合せ先:ヤンセンファーマ株式会社 ヤンセンコールセンター 0120-183-275 |