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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2022年1月 / 2022年6月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
片頭痛治療剤 5-HT1F受容体作動薬 | ||
3. 一般的名称 | ||
ラスミジタンコハク酸塩 | ||
4. 適応症 | ||
片頭痛 ■添付文書 ■患者向医薬品ガイド | ||
5. 類薬との比較 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、5-HT1F受容体に選択的に作動する世界初のジタン系薬剤であり、血管収縮作用を伴わないことから、従来の片頭痛発作治療薬が使えなかった患者への効果も期待できます。 【承認状況】 海外では、米国において2019年10月に「成人に対する前兆を伴う又は伴わない片頭痛の急性期治療」を適応として承認されています。(2022年1月現在) 【作用機序】 本剤は三叉神経終末のセロトニン5-HT1F受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制し、血管の過度な拡張や炎症・痛みを抑えます。 また、中枢の同受容体に作用することで痛みのシグナル伝達を抑制するとも考えられています。 【用法・用量】 通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与します。ただし、患者の状態に応じて1回50mgまたは200mgを投与することができます。頭痛の消失後に再発した場合は、24時間当たりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与可能です。 なお、本剤は片頭痛発作時のみに使用し、予防的には使用できません。 【副作用】 片頭痛患者を対象とした日本人および外国人の臨床試験(併合)において、本剤の服用後48時間以内に発現した副作用は、評価対象4,625例中1,884例(40.7%)に認められました。主な副作用は、浮動性めまい863例(18.7%)、傾眠317例(6.9%)、錯感覚276例(6.0%)、疲労201例(4.4%)、悪心200例(4.3%)、無力症107例(2.3%)、感覚鈍麻96例(2.1%)、筋力低下93例(2.0%)、回転性めまい89例(1.9%)などでした。 なお、重大な副作用としてセロトニン症候群(0.1%未満)が報告されています。
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.本剤は片頭痛発作時のみに使用し、予防的な使用はできません。 2.片頭痛の急性期治療薬の服用日数の多い患者さんにおいて、頭痛が悪化する場合には、薬剤誘導性頭痛の可能性を考慮してください。 3.特に高齢者では、めまい、傾眠等により転倒するおそれがあるので注意が必要です。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、セロトニン受容体に作用して片頭痛を改善します。片頭痛発作が起こり始めたら、我慢せず早めに服用しましょう。発作の予防には使用しないでください。 2.服用後にいったん片頭痛が治まり、もし再び痛みが戻ってきた場合、再度このお薬を服用することができます。その場合は、24時間で合計200mgを超えないようにしてください。 3.眠気、めまい等が現れることがあるので、本剤服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないようにしてください。 4.この薬は苦味を感じることがあるため、噛んだり割ったり砕いたりせず、そのまま服用してください。 5.飲酒によって鎮静作用などが強まる可能性があるので、ご注意ください。 【ここがポイント!】 本剤は、血液脳関門を通過し、5-HT1F受容体に選択的に結合する世界初のジタン系薬剤です。中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸などの放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を示すと考えられています。 現在、片頭痛の急性期治療薬として、軽度~中等度の片頭痛発作に対してはアセトアミノフェン、NSAIDsなどが使用され、中等度以上の片頭痛発作に対してはトリプタン系薬剤などが使用されています。2000年以降、トリプタン系薬剤の登場により画期的に進歩しましたが、トリプタン系薬剤は有効性を示さない症例も認められます。 また、トリプタン系薬剤の持つ血管収縮作用により、脳梗塞や心筋梗塞、血管狭窄などがある脳血管疾患の患者には禁忌となっています。これに対し、本剤は血管収縮作用を示さないことから、脳心血管疾患の既往または合併症を有するなどでトリプタン系薬剤が使えなかった片頭痛患者にも使用できます。 効果発現は投与30分~1時間後と比較的早期であり、服用24時間後の頭痛消失の持続において、プラセボ群との間に有意差が認められました。また、片頭痛患者を対象とした外国第III相CENTURION試験において、トリプタン系薬剤では効果不十分であった患者集団で服用2時間後に頭痛消失および頭痛改善が認められた割合は、本剤投与群とプラセボ群との間に有意差が認められました。 一方で、本剤は中枢神経抑制作用を有することから、とくに高齢者では浮動性めまい、傾眠などによる転倒に注意が必要です。また、本剤を服用中の飲酒は中枢神経抑制作用を強める恐れがあり、なるべく避けるべきでしょう。SSRIやSNRI、三環系抗うつ薬などのセロトニン作動薬やMAO阻害薬などは、セロトニン症候群の発症リスクから併用注意となっています。 今後、脳心血管疾患を有する患者には本剤を使用し、中枢神経抑制作用を有する薬剤を使用している患者では、トリプタン系薬剤を考慮するなどの薬剤選択が考えられます。片頭痛は日常生活および社会活動に大きな支障を来す疾患のため、生活習慣の改善を踏まえたサポートを心掛けましょう。
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8. 製造販売元など | ||
製造販売元:日本イーライリリー株式会社 販売元:第一三共株式会社 お問合せ先:日本イーライリリー株式会社 Lilly Answers リリーアンサーズ 0120-360-605 更新 2023.07.7 イラスト・加筆 |