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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2022年1月 / 2022年4月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
選択的P2X3受容体拮抗薬 咳嗽治療薬 | ||
3. 一般的名称 | ||
ゲーファピキサントクエン酸塩錠 | ||
4. 適応症 | ||
難治性の慢性咳嗽 | ||
5. 類薬との比較 | ||
これまで使用されてきた咳嗽治療薬としては、コデイン類のような麻薬性鎮咳薬や、デキストロメトルファンのような非麻薬性の中枢性鎮咳薬などがあります。 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、P2X3受容体を標的とした末梢性、非麻薬性の咳嗽治療薬で、難治性の慢性咳嗽への効果が期待されています。 【承認状況】 海外で製造販売が承認されている国・地域はありません(2021年8月現在)。 【作用機序】 本剤は選択的P2X3受容体拮抗薬に分類されています。 P2X3受容体が遮断されることで迷走神経の活性化が抑制され、結果として咳嗽が抑えられると考えられています。 【用法・用量】 通常、成人にはゲーファピキサントとして1回45mgを1日2回経口投与します。 なお、重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者には、本剤45mgを1日1回投与することとされています。 【副作用】 難治性の慢性咳嗽患者を対象とした国際共同第III相試験および海外第III相試験の併合データにおいて認められた主な副作用は、味覚不全(40.4%)、味覚消失、味覚減退、味覚障害、悪心、口内乾燥などでした。 味覚に関連する副作用の大多数は軽度または中等度であったものの、投与を中止している症例も認められたことから、医薬品リスク管理計画書(RMP)において「味覚異常」が重要な特定されたリスクとされています。
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.味覚障害関連副作用の頻度が63.1%と高いです。大多数は、投与開始後9日以内に発現し、投与中又は投与中止により改善しています。 2.本剤は腎排泄型であり、腎機能が低下した患者には投与量の制限があります。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、気道の神経の伝達を遮断して感覚神経の活性化や咳嗽反射を鎮めることで、慢性の咳を緩和します。 2.苦味、金属味、塩味などを感じて食事がおいしく感じられなくなることがあります。不快感が強く、食事が取れないなど日常生活に支障を来す場合はご相談ください。 【ここがポイント!】 咳嗽は、医療機関を受診する患者さんの主訴として最も頻度が高い症候で、持続期間が3週間未満の場合は「急性咳嗽」、3週間以上8週間未満は「遷延性咳嗽」、8週間以上は「慢性咳嗽」と分類されています。 これまで使用されてきた咳嗽治療薬としては、コデイン類のような麻薬性鎮咳薬や、デキストロメトルファンのような非麻薬性の中枢性鎮咳薬などがありますが、慢性咳嗽患者の中には治療抵抗性を示す例や、原因がわからず改善が不十分な例があります。 本剤は世界で初めて承認された選択的P2X3受容体拮抗薬であり、非麻薬性かつ末梢に作用する経口の慢性咳嗽治療薬です。咳嗽が1年以上継続している治療抵抗性または原因不明の慢性咳嗽患者を対象としたプラセボ対照国際共同第III相試験(027試験)および海外第III相試験(030試験)において、52週投与の結果、本剤45mg投与群はプラセボ群と比較して、4週時から24時間の咳嗽頻度の有意な減少がみられ、12週時もしくは24週時まで持続しました。 副作用については、上記試験の併合データにおいて、味覚不全、味覚消失、味覚減退、味覚障害等の味覚関連の副作用が63.1%に発現しました。多数は投与開始後9日以内に発現し、軽度または中等度でしたが、味覚関連の有害事象により服用中止に至った症例も13.9%ありました。なお、味覚関連の副作用は曝露量依存的に増加する傾向が認められており、その多くは本剤の投与中または投与中止後に改善するとされています。 相互作用については設定されていませんが、本剤の有効成分であるゲーファピキサントはスルホンアミド基を有するため、スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者では交叉過敏症が現れる可能性があり、注意が必要です。
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8. 製造販売元など | ||
製造販売元:MSD 株式会社 発 売 元:杏林製薬株式会社 お問合せ先:杏林製薬株式会社 くすり情報センター 0120-409341 |