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2023年6月製造販売承認

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■リトゴビ錠4mg■コレチメント錠9mg■リットフーロカプセル50mg■パルモディアXR錠0.2mg,同0.4m…
■ リットフーロカプセル50mg
円形脱毛症に使用する、2番目のJAK阻害剤です。
1. 承認概要
新有効成分 2023年6月 / 2023年9月 発売
2. 薬効分類名
JAK3/TEC ファミリーキナーゼ阻害剤
3. 一般的名称
リトレシチニブトシル酸塩カプセル
4. 適応症
円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、円形脱毛症を適応としたバリシチニブに続くわが国2番目のJAK阻害薬です。バリシチニブは15歳以上が対象ですが、本剤は12歳以上の小児から使用可能であり、広い患者におけるQOL向上が期待されます。

【承認状況】
海外では米国で承認され、欧州連合(EU)にて承認申請中です(2023年6月現在)。

【作用機序】
円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21などの共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮します。

【用法・用量】
通常、成人および12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与します
なお、本剤による治療反応は、通常投与開始から48週までには得られるため、48週までに治療反応が得られない場合は投与中止を考慮します。

【副作用】
1%以上に認められた臨床検査値異常を含む副作用として、悪心、下痢、腹痛、疲労、気道感染、咽頭炎、毛包炎、尿路感染、頭痛、ざ瘡、蕁麻疹が報告されています。
なお、重大な副作用として、感染症(帯状疱疹[0.9%]、口腔ヘルペス[0.8%]、単純ヘルペス[0.5%]、COVID-19[0.2%]、敗血症[0.1%]など)、リンパ球減少(1.6%)、血小板減少(0.3%)、ヘモグロビン減少(0.2%)、好中球減少(0.2%)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)、肝機能障害(ALT上昇[0.9%]、AST上昇[0.5%])、出血(鼻出血[0.5%]、尿中血陽性[0.1%]、挫傷[0.1%]など)が設定されています。
脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に使用します。12歳以上の小児から使用可能です。小児にもニーズの高い医薬品と言えます。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤はほかのJAK阻害薬と同様に、活動性結核、妊娠中、血球減少は禁忌となっています。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、脱毛の原因となる免疫関連の酵素の働きを抑えることで、円形脱毛症の症状を改善します。
2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体のだるさ、咳の継続などの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。
3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。
4.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性のある人は、この薬を使用している間および使用終了後1ヵ月間は、適切な避妊を行ってください。
5.ふくらはぎの色の変化、痛み、腫れ、息苦しさなどの症状が現れた場合は、すぐに医師にご連絡ください。

【ここがポイント!】
円形脱毛症は、ストレスや疲労、感染症などをきっかけとして、自己の免疫細胞が毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる疾患です。急性期と症状固定期(脱毛症状が約半年超)に分けられ、急性期で脱毛斑が単発または少数の場合には発症後1年以内の回復が期待できます。一方、急性期後に自然再生が認められず、脱毛症状が継続する重症の円形脱毛症では回復率は低いとされ、診療ガイドラインには局所免疫療法や紫外線療法などの治療が記載されていますが、より簡便で効果的な治療法が求められていました。
本剤は、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。
全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同治験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)で、本剤投与群は、24週時のSALT≦20(頭部脱毛が20%以下)達成割合はプラセボと比較して統計的に有意な改善を示しました。なお、円形脱毛症に使用する経口JAK阻害薬として、すでにバリシチニブ(商品名:オルミエント)が2022年6月に適応追加になっています。バリシチニブは15歳以上が対象ですが、本剤は12歳以上の小児でも使用可能です。
円形脱毛症は、多くの場合は頭皮で脱毛しますが、ときには眉毛、まつ毛を含む頭部全体や全身に症状が出ることでQOLが著しく低下する疾患です。ストレスが多い現代社会で、ニーズの高い医薬品と言えます。
8. 製造販売元など
製造販売元:ファイザー株式会社
お問合せ先:ファイザー株式会社 製品情報センター  0120-664-467
(文責 下平秀夫) 2023年10月