◆ 新薬情報 index

2023年6月製造販売承認

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■リトゴビ錠4mg■コレチメント錠9mg■リットフーロカプセル50mg■パルモディアXR錠0.2mg,同0.4m…
■ コレチメント錠9mg
コレチメント錠9mg
1. 承認概要
新投与経路 2023年6月 / 2023年9月 発売
2. 薬効分類名
潰瘍性大腸炎治療剤
3. 一般的名称
ブデソニド腸溶性徐放錠
4. 適応症
活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
有効成分のブデソニドは、副作用軽減が期待できるアンテドラッグ型のステロイドです。本剤は、標的部位の大腸にブデソニドが送達され、持続的に放出されるように設計されています。1日1回服用の薬剤で、良好な治療効果や服薬アドヒアランスが期待されています。

【承認状況】
世界 75 以上の国又は地域で承認されています(2023年3月現在)。

【作用機序】
本剤の特徴は、MMX(Multi-Matrix System)技術を用いた薬物送達システムにあり、pH応答性コーティングにより有効成分であるブデソニドを含むマルチマトリックスを潰瘍性大腸炎の標的部位である大腸で送達し、親水性基剤と親油性基剤がゲル化することでブデソニドを持続的かつ広範囲に放出させます。

【用法・用量】
通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与します。投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないように留意します。

【副作用】
2~5%未満に認められた副作用として潰瘍性大腸炎増悪があります。2%未満の副作用は、乳房膿瘍、感染性腸炎、乳腺炎、口腔ヘルペス、不眠症、睡眠障害、腹部膨満、口唇炎、ざ瘡、湿疹、蛋白尿、月経障害、末梢性浮腫、白血球数増加、尿中白血球陽性が報告されています。
プロドラッグとアンテドラッグの違い
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤はほかの経口ステロイド薬と同様に、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、クッシング症候群、骨密度の減少、消化性潰瘍、糖尿病、白内障、緑内障、精神障害などの重篤な副作用に注意が必要です。本剤投与前に水痘または麻疹の既往歴や予防接種の有無を確認しましょう。

【患者さんへの指導例】
1.本剤は、大腸に送られて持続的に炎症を鎮める潰瘍性大腸炎活動期の薬です。
2.服薬時にかまないでください。
3.生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)を接種する際には医師に相談してください。
4.疲れを残さないよう十分な睡眠と規則正しい生活が重要です。消化の悪い繊維質の多い食品や脂肪分の多い食品、香辛料などを避けて、腸に優しい食事を心がけましょう。

【ここがポイント!】
潰瘍性大腸炎は、活動期には下痢や血便、腹痛、発熱などを伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患であり、わが国では指定難病に指定されています。潰瘍性大腸炎の活動期には、軽症~中等症では5-アミノサリチル酸製剤が広く用いられ、効果不十分な場合や重症例にはステロイド薬などが投与されます。ステロイド抵抗例ではタクロリムスや生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬などが使用されます。
また、本剤の有効成分であるブデソニドはグルココルチコイド受容体親和性が高いステロイド薬であり、局所的に高い抗炎症活性を有する一方、肝初回通過効果によって糖質コルチコイド活性の低い代謝物となるため、経口投与によるバイオアベイラビリティが低いと考えられ、全身に曝露される糖質コルチコイド活性の軽減が期待されるアンテドラッグ型のステロイドとなります。本剤は1日1回投与の経口薬であることから、良好な服薬利便性や服薬アドヒアランスも期待でき、海外では2023年3月現在、75以上の国または地域で承認されています。なお、本成分を有効成分とする既存の潰瘍性大腸炎治療薬には、直腸~S状結腸に薬剤を送達するブデソニド注腸フォーム(商品名:レクタブル2mg注腸フォーム)がありますが、本剤は大腸全体が作用部位となる点に違いがあります。
本剤の主な副作用として、潰瘍性大腸炎の増悪が2~5%未満で報告されています。
製剤の特性を維持するために、本剤を分割したり、乳鉢で粉砕したりすることはできません。患者さんにかんで服用しないように伝えましょう。
潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢が増えることで、患者さんのQOL向上が期待されます。
8. 製造販売元など
製造販売元(輸入):フェリング・ファーマ株式会社
販売元:持田製薬株式会社
お問合せ先:持田製薬株式会社 くすり相談窓口 0120-189-522
(文責 下平秀夫) 2023年11月