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2022年3月製造販売承認

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■ミチーガ皮下注用60mgシリンジ■カログラ錠120mg■ジスバルカプセル40mg■ケレンディア錠10mg,20mg
■ ケレンディア錠10mg,20mg
わが国初の2型糖尿病を合併するCKDの進行を防ぐMR拮抗薬で、1日1回経口投与します。腎機能低下や血清カリウム値に応じて、投与量の制限があります。
1. 承認概要
新有効成分 2022年3月 / 2022年6月 発売
2. 薬効分類名
非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
3. 一般的名称
フィネレノン
4. 適応症
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
5. 類薬との比較

既存のMR拮抗薬としては、第1世代のアルダクトンA、第2世代のセララ錠、第3世代のミネブロ錠が発売されていますが、本剤は第3世代に属すると言われています。
なお、SGLT2阻害薬であるフォシーガが2021年8月にCKDの適応を取得し、2022年6月にはカナグルが本剤と同じく2型糖尿病を合併するCKDに対する適応を取得しています。
6. 特徴
【特徴】
本剤は、わが国初の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぐMR拮抗薬として期待されています。
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【承認状況】
2021年7月に米国で承認されて以降、世界32ヵ国で承認・販売されています(2022年2月現在)。

【作用機序】
本剤は、尿細管および各組織に存在しているミネラルコルチコイド(MR)受容体を選択的に遮断する非ステロイド型の薬剤です。
尿細管に作用することで体液貯留量が減少し、腎臓・心臓の負荷が軽減され、加えて組織のMR受容体が遮断されることで臓器障害が抑えられると考えられています。

【用法・用量】
通常、成人にはフィネレノンとして20mgを1日1回経口投与します。ただし、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の場合は10mgから投与を開始し、血清カリウム値・eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量します。
なお、血清カリウム値が4.8mEq/L以下の場合は、投与量が10mgでもeGFRが前回の測定から30%を超えて低下していない限り20mgに増量します。一方、血清カリウム値が5.5mEq/L超える場合は投与を中止し、中止後に5.0mEq/Lを下回った場合には、10mgから投与を再開することができます。

【副作用】
2つの国際共同第III相試験(FIGARO-DKDおよびFIDELIO-DKD)では、安全性解析対象6,510例中1,206例(18.5%)において、臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。主な副作用は、高カリウム血症496例(7.6%)、低血圧92例(1.4%)、血中カリウム増加85例(1.3%)、血中クレアチニン増加69例(1.1%)、糸球体ろ過率減少67例(1.0%)などでした。また、重大な副作用として、高カリウム血症(8.8%)が報告されています。
本剤はACE阻害薬あるいはARBとの併用が原則となっていることから、血清カリウム値のモニタリングが必須となります。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤は主にCYP3A4により代謝されるため、強力なCYP3A4阻害作用を持つ薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール(ブイフェンド)等)を投与中の患者には禁忌です。
2.併用注意の薬剤が多数あるので、併用薬はサプリメント等を含め、細やかに聞き取りましょう。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と呼ばれ、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者における心臓や腎臓の機能低下を防ぎます。
2.血圧が下がることにより、めまいやふらつきが現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には注意してください。
3.飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数あります。服用している薬剤や健康食品、サプリメントがあれば報告してください。
4.グレープフルーツやグレープフルーツジュースは、薬の効果を強めてしまう恐れがあるため、摂取を避けてください。
5.この薬の服用により、血中のカリウム値が上昇することがあります。手や唇がしびれる、手足に力が入らない、吐き気などの症状が現れた場合はすぐに相談してください。また、カリウムの摂り過ぎや脱水、便秘には注意してください。
6.(授乳中の方に対して)薬剤が乳汁中へ移行する可能性があるため、本剤を服用中は授乳しないでください。

【ここがポイント!】
近年、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬が心腎保護作用の点から注目されています。既存のMR拮抗薬としては、第1世代のスピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)、第2世代のエプレレノン(同:セララ錠)、第3世代のエサキセレノン(同:ミネブロ)が発売されていますが、本剤は第3世代に属すると言われています。
スピロノラクトンは女性化乳房などの副作用の課題があり、比較的それらの副作用が少ないエプレレノンも、中等度以上の腎機能障害患者(Ccr:50mL/min未満)や、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者への投与は禁忌となっています。一方で、エサキセレノンは本剤と同様にステロイド骨格を持たないという特徴がありますが、適応は高血圧症のみとなっています。
2つの臨床試験では、CKDステージが軽度~比較的進行した糖尿病性腎症の患者さんに、ACE阻害薬・ARBによる既存の治療を行った上で本剤を投与した結果、主要評価項目である心血管複合エンドポイントの発現リスクは13%、腎複合エンドポイントの発現リスクは18%、プラセボ群に比べ有意に低下させました。こういった結果をもたらした国内で初めてのMR拮抗薬であり、2型糖尿病合併CKDの適応を持つ唯一のMR拮抗薬です。
MR拮抗薬といえば血清カリウム値上昇に注意が必要ですが、本剤はACE阻害薬あるいはARBとの併用が原則となっていることから、血清カリウム値のモニタリングが必須となります。対象患者の腎機能について、eGFRが60mL/min/1.73m2未満では投与量に制限があります。また、eGFRが25mL/min/1.73m2未満の場合は、本剤投与によりeGFRが低下することがあるため、リスクとベネフィットを考慮し投与の適否を慎重に判断することとされています。
なお、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジン(同:フォシーガ)が2021年8月にCKDの適応を取得し、2022年6月にはカナグリフロジン(同:カナグル)が本剤と同じく2型糖尿病を合併するCKDに対する適応を取得しています。

2024年6月に添付文書が改訂され、ボリコナゾール(ブイフェンド)、ボサコナゾール(ノクサフィル)との併用禁忌が追記されました。
本剤は主にCYP3A4により代謝されるため、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール(ブイフェンド)等は併用禁忌です。
8. 製造販売元など
製造販売元:バイエル薬品株式会社
お問合せ先:バイエル薬品株式会社・コンタクトセンター  0120-106-398



2023.5.6:イラスト、説明文追記
2024.7.13:ボリコナゾール等併用禁忌追記
(文責 下平秀夫) 2022年9月/2024年7月更新