◆ 新薬情報 index

2015年7月製造販売承認

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■ランタスXR注ソロスター■ハーボニー配合錠■プラケニル錠200mg■トルリシティ皮下注0.75mgアテオス/…
■ プラケニル錠200mg
1. 承認概要
新有効成分 2015年7月 / 2015年9月 発売
2. 薬効分類名
免疫調整剤
3. 一般的名称
ヒドロキシクロロキン硫酸塩
4. 適応症
全身性及び皮膚エリテマトーデス
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
我が国ではこれまで、エリテマトーデスに適応を持つ薬剤には副腎皮質ステロイドと一部の免疫抑制剤等しかありませんでした。本剤は本症に対して海外で標準的に使用されている治療薬です。本剤はヒドロキシクロロキン硫酸塩を有効成分とする抗炎症作用、免疫調整作用、抗マラリア作用、細胞増殖抑制作用等を有する薬剤です。

【エリテマトーデスとは】
エリテマトーデスとは、皮膚をはじめ種々の臓器に炎症が現れる自己免疫性結合組織疾患の総称であり、過剰産生された抗DNA抗体がDNAと結合して組織に沈着し炎症を引き起こします。全身性エリテマトーデス(SLE)は、発熱や倦怠感(全身症状)、手指の関節痛や肘・膝の関節炎(関節症状)、顔面や耳、首の回りに好発する紅斑、口腔潰瘍、日光過敏、貧血、タンパク尿等の様々な症状を伴い、多臓器に障害を及ぼします。皮膚エリテマトーデス(CLE)は、皮膚症状を主体とするエリテマトーデスです。SLEは指定難病の1つで、患者の大半は女性であり、20代~40代での発症が多くみられます。
我が国でのSLEによる死因の第1位は感染症で、20~50%を占めており、主にステロイドや免疫抑制薬などの治療薬による免疫機能低下に起因しています。

【背景】
■クロロキン薬害事件
日本でも、以前はヒドロキシクロロキン硫酸塩を有効成分とする経口剤が製造許可され、マラリアや関節リウマチなどに対し使用されていましたが、1960年ごろヒドロキシクロロキン硫酸塩と類薬であるクロロキンの高用量投与による網膜障害が国内外で報告されたことを受け、1974年に販売中止となり、誘導体である本剤も販売を中止されました。

■海外では標準治療薬
一方海外では、ヒドロキシクロロキンは低用量(1日平均投与量=6.5mg/kg未満)での投与ならば網膜障害リスクも低いことが明らかになり、SLEおよびCLEへの標準的治療に位置付けられています。我が国では、個人で輸入されていた例もありました。個人輸入での使用では、偽造医薬品や粗悪品の使用リスクが高く、また、副作用に対する被害救済も受けることができません。これらの背景から、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高い薬剤と評価され、2010年12月、サノフィが開発要請を受けました。

【承認状況】
1955年4月に米国で承認されて以降、2015年3月現在、欧米を含む70ヵ国以上で承認されており、主にマラリア、SLE、円板状エリテマトーデス、関節リウマチ等の治療に用いられています。

【作用機序】
本剤は、主にリソソーム内に蓄積したヒドロキシクロロキンがリソソーム内のpHを上昇させ、それに伴ってリソソーム内の種々の機能が抑制されることで、エリテマトーデスの諸症状を改善すると考えられています。

【用法・用量】
通常、ヒドロキシクロロキン硫酸塩として200mg又は400mg を1日1回食後に経口投与します。 ただし、1日の投与量はブローカ式桂変法により求められる以下の理想体重に基づく用量とします。
女性患者の理想体重(kg)=(身長(cm)-100)×0.85
男性患者の理想体重(kg)=(身長(cm)-100)×0.9
1.理想体重が31kg以上46kg未満の場合、1日1回1錠 (200mg)を経口投与します。
2.理想体重が46kg以上62kg未満の場合、1日1回1錠 (200mg)と1日1回2錠(400mg)を1日おきに経口投与します。
3.理想体重が62kg以上の場合、1日1回2錠(400mg) を経口投与します。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1)本剤投与後の脂肪組織中濃度は低いことから、実体重に基づき本剤を投与した場合、特に肥満患者では過量投与となり、網膜障害等の副作用発現リスクが高まる可能性があるため、実体重ではなく、身長に基づき算出される理想体重に基づき投与量を決定します。
(2)本剤による網膜症の発現リスクは1日の推奨用量(6.5mg/kg(理想体重))を超えると高くなると報告されていることから、1日あたり6.5mg/kg(理想体重)を超えて投与することは避けます。

【患者さんへの説明例】
(1)眼障害があらわれることがありますので、定期的な眼科検診を受けてください。また、視調節障害、霧視などの視覚異常や低血糖症状があらわれることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作や高所での作業などに注意してください。
(2)めまい、意識障害などの低血糖症状が現れることがあります。そのような場合には医師にご相談ください。
(3)自動車の運転など危険を伴う機械の操作や高所での作業などに注意してください。
8. 製造販売元など
製造販売元:サノフィ株式会社
お問合せ先:サノフィ株式会社 くすり相談室 0120-109-905
(文責 下平秀夫) 2015年9月/2016年10月更新