◆ 新薬情報 index

2014年12月製造販売承認

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■ジャディアンス錠 10mg,25mg■タケキャブ錠 10mg,20mg■ベピオゲル2.5%■ロゼックスゲル 0.75%
■ ロゼックスゲル 0.75%
ロゼックスゲル 0.75%
1. 承認概要
新投与経路 2014年12月 / 2015年5月 発売
2. 薬効分類名
がん性皮膚潰瘍臭改善薬
3. 一般的名称
メトロニダゾール
4. 適応症
〇がん性皮膚潰瘍部位の殺菌、臭気の軽減
〇酒さ (2022年5月適応追加)
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
日本で初めて「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌、臭気の軽減」を効能・効果とする医薬品です。 国内外の診療ガイドライン等において、メトロニダゾールの外用剤はがん性皮膚潰瘍のがん性臭気に対する対症療法として推奨されています。 これまで主に院内製剤として対応されていました。

さらに、2022年5月に本剤が酒さへの適用拡大が認められました。本剤は、酒さに対して十分なエビデンスがあり、かつ保険適用のある初めての治療薬であり、2023年に公開されたガイドラインで唯一の推奨度Aとなってます。

【作用機序】
<がん性皮膚潰瘍>
進行がんの皮膚潰瘍部で増殖し臭気物質を産生する菌に対し、抗菌作用を発揮することによってがん性臭気を軽減します。 がん性臭気の軽減と嫌気性菌の消失には関連があることが報告されています。
<酒さ>
酒さ病変部において増加している活性酸素種の生成を抑制することで抗炎症作用を示し、また、免疫細胞によるTNF-αの産生や貪食細胞の免疫能等を抑制することで免疫抑制作用を示します。

【承認状況】
<がん性皮膚潰瘍>
本剤は64カ国で承認済みですが、この効能・効果については英国で承認済みです(平成26年9月現在)。
国内では経口剤の調製外用剤が使用されるなど、この効能・効果を有する医薬品がなかったことから、 厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと評価され、同社が開発を要請されていました。 これまでわが国では、フラジール錠を粉砕・溶解し、ワセリンや親水性軟膏などの基材と混合した院内製剤で対応されていました。

<酒さ>
海外では、1988年に米国で承認されて以降、世界 60 以上の国又は地域で承認されています。わが国では、2016年に日本皮膚科学会から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に要望が提出され開発が進みました。

【用法・用量】
<がん性皮膚潰瘍>
症状及び病巣の広さに応じて適量を使用します。 潰瘍面を清拭後、1日1~2回ガーゼ等にのばして貼付するか、患部に直接塗布しその上をガーゼ等で保護します。
<酒さ>
1日2回外用し、2週間で15gチューブ1本を使用するのが目安です。薬の効果が弱まるため使用中は紫外線を避けます。本剤の使用期間は通常12週間までとします。

【がん性皮膚潰瘍臭】
がん性皮膚潰瘍臭は、進行がんの皮膚潰瘍部から発生する特有の不快な臭気であり、主に潰瘍部位に感染した嫌気性菌が産生するプトレシンやカダベリンが原因と考えられています。 胃がん、乳がんからの皮膚転移が比較的多く見られます。このようながん性皮膚潰瘍臭は、患者自身の精神的苦痛のほか、看病する家族や介護者への負担となっています。

【尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023】
日本皮膚科学会より酒さについてガイドラインが公表されました。酒さは一般に「赤ら顔」とも呼ばれ、ガイドラインでは「主として中高年の顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患」と定義されており、男性よりも女性に多い傾向があります。鼻や頬、額などに赤みやニキビのような症状がでてほてりやヒリヒリ感などもみられます。
 
【酒さの対処法】
酒さの治療法はおおきく「医療的治療、悪化因子の回避、スキンケア」の3つに分けられます。
<紅斑毛細血管拡張型 酒さ >
赤み(紅斑)やほてりがメイン。
外用療法について、スキンケアが推奨度C1(選択肢の1つとして推奨する)であり、色素レーザーや光治療なども推奨度C1となっています。
 
<丘疹膿疱型 酒さ >
ぼつぼつ(丘疹)や膿疱を伴う丘疹。
メドロニダゾールは唯一、推奨度A(強く推奨する)であり、アゼライン酸外用とスキンケアが推奨度C1となっています。ただし、本剤の適応は「酒さ」ですから、丘疹膿疱型以外の酒さにも使用可能です。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1) 長期保存により黄褐色に変化することがあります。
(2) 皮膚潰瘍部への塗布により全身吸収が認められるため、広範囲の場合等には副作用(末梢神経障害、中枢神経障害、白血球減少、好中球減少など)が、 血中濃度の上昇により発現するおそれがあります。
(3) RMPにおいて、重要な特定されたリスクは「潰瘍部位からの出血」、重要な潜在的リスクは「末梢神経障害」となっています。

【患者さんへの説明例】
(1) <がん性皮膚潰瘍臭>皮膚潰瘍部位のにおいの原因となる菌を殺菌することで、いやなにおいを軽減します。
(2) <酒さ> 顔面皮膚で亢進している活性酸素や免疫応答を鎮めて皮膚炎症を抑えます。
(3) 刺激感を伴う皮膚症状が認められた場合は、使用回数を減らす、または一時的に本剤の使用を中止し、必要に応じ医師の指示を受けてください。
8. 製造販売元など
製造販売元:マルホ株式会社
お問合せ先:マルホ株式会社 製品情報センター 0120-12-2834

更新 2024年2月 酒さ 適応追加を執筆
(文責 下平秀夫) 2015年3月/2024年2月更新