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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2019年1月 / 2019年4月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
末梢性神経障害性疼痛治療剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
ミロガバリンベシル酸塩錠 | ||
4. 適応症 | ||
神経障害性疼痛 (2022.04末梢性神経障害性疼痛から拡大) | ||
5. 類薬との比較 | ||
上記の表での修正情報です。 サインバルタは2021.6、リリカは2020.12にジェネリック医薬品が発売されています。 タリージェは2022.4 PNP→NP(適応拡大されています。) | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤はわが国で2剤目の電位依存性カルシウムチャネルα2δ リガンドで、末梢性神経障害性疼痛に適応を持つことから疼痛治療の新たな選択肢になると期待されています。 【神経障害性疼痛】 神経障害性疼痛とは、体性感覚系(痛みを伝える神経)の損傷や疾患の直接的な結果として引き起こされる疼痛と定義されています (国際疼痛学会)。原因となる神経の損傷部位により「末梢性神経障害性疼痛」と「中枢性神経障害性疼痛」に分類されます。本剤の適応である「末梢性神経障害性疼痛」に含まれる代表的な疾患としては、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)、帯状疱疹後神経痛(PHN)、三叉神経痛(TN)等が挙げられます。 【神経障害性疼痛】 大きく「末梢性神経障害性疼痛」と 「中枢性神経障害性疼痛」に分けられます。 ■「末梢性神経障害性疼痛」は脳や脊髄から出た後の神経に原因がある場合 ・帯状疱疹ヘルペスなどによって神経が障害される ・糖尿病によって神経が障害された場合 ・外傷によって末梢神経に傷をおった場合 ・怪我などで四肢切断後の起きる幻視痛や断端痛 ・手術によって出来た傷が痛む術後瘢痕症候群 ・がんの腫瘍によって神経が圧迫された ・がんが神経に広がった場合 ■「中枢性神経障害性疼痛」は脳や脊髄に原因がある場合 ・脳内出血、脳梗塞 などによっておきる痛み ・多発性硬化症によっておきる痛み ・脊髄損傷、脊髄空洞症、脊髄癆などによる痛み 参考 : https://kuwana-sc.com/brain/488/ (桑名眼科脳神経クリニック) 【承認状況】 2019年1月現在、海外では本剤が承認されている国又は地域はありません。 【作用機序】 本剤は、電位依存性カルシウムチャネル α2δ-1 サブユニットに強力かつ持続的に結合し鎮痛効果を発揮する国産の新規末梢性神経障害性疼痛治療剤です。 【用法・用量】 通常、成人には、ミロガバリンとして初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与します。 なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与します。 【副作用】 〈糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)〉 日本を含むアジアで実施した DPNP 患者を対象とした臨床試験において、854 例中 267 例(31.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、傾眠 107 例(12.5%)、浮動性めまい 77 例(9.0%)、体重増加 27 例(3.2%)等でした(承認時)。 〈帯状疱疹後神経痛(PHN)〉 日本を含むアジアで実施した PHN 患者を対象とした臨床試験において、553 例中 241 例(43.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、傾眠 110 例(19.9%)、浮動性めまい 65 例(11.8%)、体重増加 37 例(6.7%)等でした(承認時)。 なお、弱視、視覚異常、霧視、複視などの眼障害が現れることがあるため注意が必要です。
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.腎機能障害患者に本剤を投与する場合には、クレアチニンクリアランス値により投与量及び投与間隔を調整する必要があります。 【患者さんへの指導例】 1.過敏になっている神経を鎮めることで、しびれ、電気が流れているような痛み、焼けるような痛みなど、末梢神経障害による痛みを和らげます。 2.服用中は、めまい、強い眠気、意識消失などが現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないでください。 3.本剤の服用を長く続けたり量を増やしたりすることで、体重が増加することがあります。実際に体重が増加し始めた場合はご相談ください。 4.この薬を突然中止すると、不眠、吐き気、頭痛、下痢、食欲低下などの症状が現れることがあります。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。 5.本剤を服用中に飲酒をした場合、注意力、平衡機能の低下を強める恐れがあるので注意してください。 【ここがポイント!】 神経障害性疼痛は、『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(改訂第2版)』で「体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」とされ、神経の損傷部位によって“末梢性”と“中枢性”に分類されます。 本剤の作用機序は既存薬のプレガバリンと同様です 本剤は低用量から開始して、有効性や安全性を確認しながら維持量に漸増します。腎機能障害のある患者さんや高齢者では副作用が発現しやすいため、慎重に症状や副作用を聞き取りましょう。とくに高齢者ではめまいなどの副作用が生じると、転倒による骨折などを起こす恐れがあるため、細やかな投与量の調節が必要です。 神経障害性疼痛は罹病期間が長引きがちで、さらに不安や睡眠障害を引き起こすこともあり、患者さんのQOLに与える影響は甚大です。末梢神経障害性疼痛の治療選択肢が増え、痛みに悩む患者さんの生活に改善がもたらされるのは喜ばしいことです。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:第一三共株式会社 お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132 更新 : 2023/8/27: イラスト、適応拡大を加筆 |