◆ 新薬情報 index

2024年12月製造販売承認

(印刷用画面へ)
■ゼポジアカプセルスターターパック/ゼポジ…■ゼップバウンド皮下注2.5mg,5mg,…
■ ゼップバウンド皮下注2.5mg,5mg,7.5mg,10mg,12.5mg,15mgアテオス
ゼップバウンド皮下注
1. 承認概要
新効能・新剤型・新用量 2024年12月 / 2025年4月 発売
2. 薬効分類名
肥満症治療薬/持続性GIP/GLP-1受容体作動薬
3. 一般的名称
チルゼパチド
4. 適応症
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病のいずれかを有し*1、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMI が 27kg/㎡ 以上であり、2 つ以上の肥満に関連する健康障害*2を有する
・BMI が 35kg/㎡以上
------------------------------------------
<読み取るのが困難な投与対象>
*1「高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病のいずれかを有し」とは3つのうち少なくとも1疾患を有するということです。
*2 「肥満に関連する健康障害」とは「最適使用推進ガイドライン チルゼパチド 2025.03 厚労省」に記載された「肥満に関連する健康障害」です。脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、高尿酸血症、冠動脈疾患など下記に示す11疾患ががこれに該当します。


「肥満に関連する健康障害」
1 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
2 脂質異常症
3 高血圧
4 高尿酸血症・痛風
5 冠動脈疾患
6 脳梗塞・一過性脳虚血発作
7 非アルコール性脂肪肝疾患
8 月経異常・女性不妊
9 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11 肥満関連腎臓病
------------------------
 
5. 類薬との比較

類薬
GIP/GLP-1受容体作動薬 チルセバチド(ゼップバウンド、マンジャロ)
GLP-1受容体作動薬 セマグルチド(オゼンピック、リベルサス、ウゴービ)など

 
6. 特徴
【特徴】
本剤は肥満症を適応として承認された日本で初めてのGIP/GLP-1受容体作動薬です。糖尿病治療薬のマンジャロ皮下注と同成分です。高血圧などを有し、食事・運動療法を行っても十分な効果が得られない肥満症患者の体重減少効果が期待されています。

【承認状況】
チルゼパチドは 2023 年 11 月に米国、英国及びアラブ首長国連邦、2023 年 12 月に EU 及びサウジアラビアで肥満又は過体重に対する体重管理を適応症として承認されました。日本では、肥満症患者について2024 年 12 月に製造販売承認を取得しました。

【作用機序】
GIP/GLP-1受容体作動:GIPとGLP-1の両方に作用し、血糖降下効果と食欲抑制効果を持ちます。特にGIPに対する作用が強く、DPP-4による分解を受けにくいため、長時間血中で作用します。

【用法・用量】
通常用法:成人には、週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量可能です。

【副作用】
国際共同第 III 相プラセボ対照二重盲検比較試験において、有害事象を発現した割合は、チルゼパチド5 mg群505/624例(80.9%)、10 mg群514/628例(81.8%)、15 mg群495/628例(78.8%)、プラセボ群458/637例(71.9%)でした。
発現割合が5%以上の有害事象の大部分は胃腸障害関連で最も多く認められた胃腸障害関連の有害事象は悪心、下痢及び便秘でした。
重篤な副作用:膵炎、膵腺癌のリスク増加、低血糖(併用薬剤とともに)、甲状腺髄様癌のリスク増加(GLP-1受容体作動薬全般の警告事項)。
・食事療法+運動療法・高血圧or脂質異常症or2型DM。BMI 35kg/㎡以上か、BMI が 27kg/㎡ 以上で肥満関連健康障害2つ以上。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤とDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体およびGIP受容体を介した血糖降下作用を有しています。両剤を併用処方の場合には疑義照会が必要です。
2.重大な副作用として、低血糖、急性膵炎が現れることがあります。嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などが現れた場合は急性膵炎の可能性を考慮し、使用を中止して速やかに医師の診察を受けるように指導しましょう。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、GIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれ、脳に作用して食欲を抑えることで、体重を減らす作用があります。
2.血糖値を下げる作用があるため、脱力感、倦怠感、高度の空腹感、めまいなどの低血糖症状が現れた場合は糖質を含む食品を取ってください。また、高所作業、自動車の運転などに注意してください。
3.週1回、同じ曜日に投与してください。オートインジェクター型注入器は1回使い切りです。
4.めまいやふらつき、動悸、冷や汗などの低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う作業を行う際は注意してください。これらの症状が認められた場合は、ただちに糖質を含む食品を摂取してください。
5.悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退が強い場合はご相談ください。
6.嘔吐を伴う激しい腹痛が現れた場合は使用を中止し、速やかに受診してください。
7.冷蔵庫内などで光が当たらないように保管してください。凍結は避けて、もし凍結した場合は使用しないでください。室温で保管する場合は、外箱から出さずに保管し、21日以内に使用してください。30℃を超える場所では保管しないでください。

【ここがポイント!】
従来我が国での肥満治療で保険適応があったのはサノレックス(覚醒作用のあるアンフェタミン類)でBMI35以上の高度肥満のみでした。2024年2月にウゴービが発売され、今回ゼップバウンドが発売され、投与対象患者が広がりましたが、特に対象患者について適正使用に注意する必要があります。

1.持続性GIP/GLP-1受容体作動:GIPとGLP-1の両方に作用し、長時間の血糖制御と食欲抑制効果を持ちます。
2.自己注射の利便性:週1回の自己注射が可能で、患者のアドヒアランス向上に寄与します。
3.体重減少効果:臨床試験で示された体重減少効果が高いことが特徴です。
4.食事療法、運動療法を行っている患者さんに限ります。
5.デバイスはオートインジェクターの「アテオス」で、注射部位に"アテてオス"です。

チルゼパチドは糖尿病予備軍の発症を減らす「今週の論文」 日経メディカル2025/03/18
有害事象の大部分は胃腸障害関連(悪心、下痢、便秘)
8. 製造販売元など
製造販売元:日本イーライリリー株式会社
お問合せ先:日本イーライリリー株式会社 医薬情報問合せ窓口
0120-360-605(医療関係者向け)
 
(文責 下平秀夫) 2025年3月