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2024年9月製造販売承認

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■クービビック錠25mg、錠50mg
■ クービビック錠25mg、錠50mg
クービビック錠25mg、錠50mg
1. 承認概要
新有効成分 2024年9月 / 未発売
2. 薬効分類名
オレキシン受容体拮抗薬/不眠症治療薬
3. 一般的名称
ダリドレキサント塩酸塩
4. 適応症
不眠症
5. 類薬との比較

既存類薬にはベルソムラ錠(スボレキサント)とデエビゴ錠(レンボレキサント)があり、本剤は我が国で3番目のオレキシン受容体拮抗薬です。
オレキシン受容体拮抗薬は脳の覚醒(興奮)系を抑制させるので、GABA受容体に作用するベンゾジアゼピン系薬剤と比較して、より自然に近い睡眠が得られ、依存性も少ないといわれています。

 
6. 特徴
<特徴>
本剤は、オレキシン受容体に対する高い選択性と短い半減期を特徴とする不眠症治療薬です。脳の自然な睡眠、覚醒リズムを利用して効果を発揮します。
本剤は、既存のオレキシン受容体拮抗薬と同じ作用機序を持ちますが、オレキシン受容体には2つのサブタイプが存在し、オレキシン1受容体とオレキシン2受容体に対してより選択的に結合し、半減期が短いという特徴があります(デュアルオレキシン受容体拮抗薬:DORA)。
半減期はベルソムラ4時間(20mg反復)、デエビゴ1.5時間(10mg反復)、本剤1時間(50mg反復)となっています。

<承認状況>
我が国では2024年9月に承認されました。欧米およびEUでも承認されています。

<作用機序>
本剤は、脳内のオレキシン1受容体とオレキシン2受容体に結合し、覚醒を促すオレキシンの作用を一時的に遮断します。これにより、自然な睡眠への移行を促進します。

<用法・用量>
通常、成人にはダリドレキサントとして50mgを1日1回就寝直前に経口投与します。年齢、症状により適宜減量しますが、1日最高用量は50mgです。

<臨床成績>
第III相臨床試験において、クービビック錠は主観的総睡眠時間(sTST)と睡眠潜時(LPS)の両方で、プラセボに対して統計学的に有意な改善を示しました。また、3ヶ月間の長期投与でも有効性と安全性が確認されています。

<副作用>
主な副作用として、傾眠(3%以上)、頭痛・頭部不快感、倦怠感・疲労、悪夢(いずれも 1~3%未満)等心などが報告されています。特に、傾眠や注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意が必要です。

<相互作用>
ダリドレキサントは主に薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝されます。
そのため、強力なCYP3A阻害剤とは禁忌となっています。中程度のCYP3A阻害剤と併用する場合は、1日1回25mgとします。
[強力なCYP3A阻害剤]
イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット、セリチニブ、エンシトレルビル フマル酸等
既存類薬のうち、ベルソムラもデエビゴもCYP3Aによって代謝されます。ベルソムラも強力なCYP3A阻害剤とは禁忌となっていますが、デエビゴでは禁忌となっていません。
[中程度のCYP3A阻害剤]
ジルチアゼム、ベラパミル、エリスロマイシン、フルコナゾール 等
これらの薬剤との併用では錠25mgの投与となります。

<重度の肝機能障害>
重度の肝機能障害患者の場合は、本剤の血漿中濃度が上昇し傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため禁忌となっており、中等度の肝機能障害患者の場合には1日1回25mgとします。

<食事の影響>
食後投与では、空腹時投与に比べ、投与直後の本剤の血漿中濃度が低下することがあるので、食事と同時又は食直後の服用は避ける必要があります。
不眠症に
7. 使用上の注意と服薬支援
<患者さんへの指導例>
1.本剤は、覚醒と睡眠リズムを調整することで寝つきをよくし、より正常な睡眠の維持を促します。
2.本剤は就寝直前に服用してください。服用後はすぐに横になり、睡眠をとるようにしましょう。
3.効果が持続し、翌朝の覚醒に影響を与える可能性があるため、十分な睡眠時間(7時間以上)を確保できる場合にのみ服用してください。
4.アルコールとの併用は、相互に作用を増強する可能性があるため避けてください。

<ここがポイント!>
本剤は、既存のオレキシン受容体拮抗薬と比較して、より選択的な受容体結合性と短い半減期を持つことが特徴です。これにより、翌日への持ち越し効果が少なく、より自然な睡眠・覚醒リズムを維持できる可能性があります。
本剤はプラセボと比較して、翌朝の眠気増加を示さなかったとのことで(持ち越し効果が少ない)、これは既存類薬と比較して半減期が短い(1時間)ことが関係しているかもしれません。
 
<強力なCYP3A阻害剤>と併用禁忌!!
8. 製造販売元など
製造販売元:ネクセラファーマジャパン株式会社
お問合せ先:ネクセラファーマジャパン株式会社 メディカルアフェアーズ本部 DI センター
      0120-664-553
(文責 下平秀夫) 2024年10月