|
1. 改訂年月 | ||
2023年8月 | ||
2. 改訂内容 | ||
2. 改訂内容 <追加> 下線部の適応 【効能・効果】 ○白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法 ○BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法 ○相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法 ○がん化学療法歴のあるBRCA 遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 ○BRCA 遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法 ○BRCA 遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 ○BRCA 遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法
| ||
3. 解説 | ||
3. 解説 ★再発卵巣がん治療薬であるリムパーザ錠(一般名:オラパリブ錠)が、国内で初めてBRCA遺伝子陽性の遺伝性乳がん治療薬として承認されました。その後、次々と適応癌腫を増やして適応追加となっています。 【背景】 オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を標的とした新規の作用機序を持つ、世界初のPARP阻害薬です。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に対して特異的に細胞死を誘導します。もともとは白金系抗悪性腫瘍薬感受性の再発卵巣がん治療薬として発売されました。 〈卵巣癌〉 2018年1月19日に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」承認。 2019年6月に「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」が適応追加。 2020年12月に「相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ (遺伝子組換え) を含む初回化学療法後の維持療法」が適応追加。 〈乳癌〉 2018年7月に「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」適応追加。 2022年8月に「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」適応追加。 〈前立腺癌〉 2020年12月「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」が適応追加。 2023年8月に「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」に対する用法及び用量の一部変更承認。 〈膵癌〉 2020年12月に「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法」が適応追加。 【使用上の注意】 (1)アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬およびタキサン系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法歴のある患者を対象とします。 (2)承認された体外診断薬などを用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異または病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与します。 【用法・用量】 ・白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法 ・BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法 ・BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法の場合 :通常、成人は主成分として1回300mg(150mg錠を2錠)を1日2回服用します。 【ここがポイント!】 損傷したDNAを修復するPARPという酵素の働きを阻害することで、腫瘍細胞の増殖を抑制します。もう少し専門的にいうと、DNAの二本鎖切断修復機構である相同組換え修復 (HRR) が機能していない癌細胞に選択的に作用し、細胞死に導きます。相同組換え修復機能不全 (HRD) にはBRCA等の関与が知られており、乳癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌等の一部にBRCA遺伝子変異が認められています。2013年にアメリカの女優、アンジェリーナ・ジョリーさんの告白で、社会にも遺伝学的検査、予防的切除の必要性が注目されました。 本剤は、悪心・嘔吐が高頻度で認められているため、患者対応が必要です。また、骨髄抑制にも注意が必要です。 服薬指導の際には、脱水が起こらないように水分補給や食事の工夫などのアドバイスができるとよいでしょう。 くすりのしおり(くすりの適正使用協議会) |