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1. 承認概要 | ||
新医療用配合剤 2022年9月 / 2022年12月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
Rhoキナーゼ阻害薬/α2作動剤配合剤 緑内障・高眼圧症治療剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩 | ||
4. 適応症 | ||
次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合:緑内障、高眼圧症 | ||
5. 類薬との比較 | ||
Rhoキナーゼ阻害薬を含有する配合点眼剤は、本剤だけです。α2刺激薬との配合点眼薬としては3剤目となります。 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、Rhoキナーゼ阻害薬とα2作動薬を含有する世界初の組み合わせの点眼薬です。1剤で3種の眼圧下降機序を有し、多剤併用を必要とする患者さんのアドヒアランスとQOLの向上が期待されています。 【承認状況】 海外では承認されていません(2022年9月現在)。 【作用機序】 リパスジルの眼圧下降作用の機序として、Rhoキナーゼ阻害作用に基づく線維柱帯-シュレム管を介する主流出路からの房水流出促進が示唆されています。 ブリモニジンはα2アドレナリン受容体を作動させることで、毛様体上皮での房水産生を抑制し、更に、ぶどう膜強膜流出路からの房水流出を促進し、眼圧下降作用を示すと考えられています。 【用法・用量】 通常、1回1滴、1日2回点眼します。 【副作用】 国内第III相長期投与試験(K-232-03)において、副作用は76.0%(136/179例)に認められました。主な副作用は、結膜充血58.1%(104例)、アレルギー性結膜炎18.4%(33例)、眼瞼炎17.3%(31例)、点状角膜炎7.8%(14例)、眼刺激7.3%(13例)、結膜炎6.1%(11例)、眼そう痒症3.9%(7例)、霧視2.2%(4例)などでした。 結膜充血はRhoキナーゼ阻害薬(リパスジル)の血管平滑筋弛緩作用によるもので、点眼事に発現と消失を繰り返し、多くは回復、軽快すると言われています。充血が長く持続する場合は注意が必要です。 なお、本剤は全身的に吸収されるため、α2作動薬の全身投与時と同様の副作用(眠気、めまい、徐脈、低血圧など)が現れることがあります。
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7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.本剤は局所のみならず全身的に吸収されるため、ブリモニジンによる血圧低下、傾眠、回転性めまい、浮動性めまいに注意する必要があります。またブリモニジンによる霧視が発現する場合があるので、そのような症状が現れた場合は、回復するまで機械類の操作や自動車などの運転を行わないように伝えましょう。 2.リパスジルはアレルギー性結膜炎、眼瞼炎などに注意が必要で、本剤のRMPで重要な特定されたリスクにもアレルギー・炎症関連眼障害が記載されています。また、リパスジルにより結膜充血が起こりやすいですが、これは点眼後約90分程度で解消されるので患者さんには前もって伝えておきましょう。 【患者さんへの指導例】 1.この点眼薬には2種類の有効成分が配合されており、眼圧を調整する房水の産生を抑制するとともに、主流出路および副流出路からの房水の排出を促進することで眼圧を下げます。 2.点眼後は、1~5分間目を閉じて、目頭のあたりを指で軽く押さえてください。 3.他の点眼薬を併用する場合は、少なくとも5分以上間隔を空けてから点眼してください。 4.コンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼後5分以上経ってから再装用してください。 5.本剤を使うことで、眠気、めまい、眼のかすみなどを起こす恐れがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事する場合は注意してください。 【ここがポイント!】 緑内障は、視野狭窄から失明に至る可能性があり、適切な治療が必要な疾患です。緑内障・高眼圧症に対するエビデンスに基づいた治療は眼圧を下げることであり、原則として単剤から治療を開始して、効果が不十分な場合に多剤併用療法が実施されます。しかし、多剤併用の場合は、5~10分以上の間隔を空けてから点眼する必要があるため、さし忘れによるアドヒアランスの低下や治療負担感の増大が課題となっています。 このような背景から配合点眼薬が頻用されており、わが国ではグラアルファ配合点眼液を加えて9製品が発売されています。しかし、これらのうち7製品はチモロールなどのβ遮断薬が配合されているため、コントロールが不十分な心不全や気管支喘息などの患者には禁忌となっています。 本剤は、Rhoキナーゼ阻害薬であるリパスジル塩酸塩水和物と、α2作動薬であるブリモニジンを組み合わせた世界初の配合点眼薬です。1剤で、(1)主流出路からの房水流出促進、(2)副流出路からの房水流出促進、(3)房水産生抑制の3種の眼圧下降機序を有するため、緑内障点眼薬を併用する患者さんのアドヒアランスとQOLの向上が期待されています。プロスタグランジン関連薬とβ遮断薬が配合された点眼薬と本剤を併用することで、2剤で4種類の機序の異なる有効成分を点眼することが可能となります。 なお、本剤の名称の由来は、リパスジル塩酸塩水和物点眼液(商品名:グラナテック点眼液0.4%)の「グラ」と、α2作動薬の「アルファ」を組み合わせたものとなっています。
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8. 製造販売元など | ||
製造販売元:興和株式会社 お問合せ先:興和株式会社 くすり相談センター 0120-508-514 更新2023.05.04 イラスト説明文追加 |