◆ 新薬情報 index

2018年9月製造販売承認

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■オラビ錠口腔用50mg■モビコール配合内用剤LD / HD■ベオーバ錠50mg■エイベリス点眼液0.002%
■ エイベリス点眼液0.002%
1. 承認概要
新有効成分 2018年9月 / 2018年11月 発売
2. 薬効分類名
選択的EP2受容体作動薬 緑内障・高眼圧症治療剤
3. 一般的名称
オミデネパグ イソプロピル点眼液
4. 適応症
緑内障、高眼圧症
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、EP2受容体に選択的に作用して眼圧下降作用を示す、緑内障・高眼圧症治療剤です。

【承認状況】
海外では2017年11月現在、本薬を有効成分とする点眼剤は承認されていません。

【作用機序】
本剤はプロスタグランジン関連薬に分類されますが、プロスタグランジン骨格を持たない低分子化合物です。既存のプロスタグランジン関連薬が、プロスタノイドFP受容体に作用して、眼房水排出の副経路であるぶどう膜強膜流出路からの排出を促すのに対し、本剤は、EP2受容体に選択的に作用することで、主経路である線維柱帯流出路(シュレム管)とぶどう膜強膜流出路の両方を介して眼房水の排出を促進し眼圧を降下させるという、新しい作用機序の点眼薬です。

【臨床効果】
本剤の有効性は、FP受容体作動薬であるラタノプロスト群との比較試験において、非劣性が認められています。
他剤無効例の開放隅角緑内障および高眼圧症を対象とした臨床試験において、本剤の投与により有意な眼圧下降が認められました。長期投与試験において有効性と安全性が確認されています。

【用法・用量】
1回1滴、1日1回点眼します。

【副作用】
国内で実施された第II/III相試験(4週間投与、116例)、第III相長期投与試験(52週間投与、125例)および第III相切替試験(4週間投与、26例)の併合解析において、本剤を投与された267例中107例(40.1%)に副作用が認められました。主な副作用は結膜充血61例(22.8%)でした。
また、重大な副作用として、眼内レンズ挿入患者に本剤を投与後、嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫の発現(5.2%)が認められています。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤は、無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者には、嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下及び視力障害を起こすおそれがあるため禁忌です。
2.本剤は、タフルプロスト(タプロス点眼液、タプコム配合点眼液)を投与中の患者には中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められているため禁忌です。
3.本剤は、虹彩炎、ぶどう膜炎等の眼炎症性疾患のある患者には、眼炎症が悪化するおそれがあるため注意が必要です。
【患者さんへの指導例】
1.この薬は、眼圧を調節している水分の排出を促して、眼圧を下げる緑内障・高眼圧症の薬です。
2.毎日なるべく同じ時間に点眼してください。忘れた場合、その日のうちであれば気付いたときに点眼し、次の日からはいつもの時間に点眼します。翌日に気付いた場合、前日の分は点眼せずに1回分を点眼してください。
3.点眼後、一時的に眼がかすんだり、まぶしさを感じる場合がありますが、それらの症状が回復するまで自動車の運転や危険を伴う作業などは行わないでください。
4.コンタクトレンズを使用している場合は、レンズを外した状態で点眼し、その後装着する場合は15分以上空けてください。
5.使用前・使用後にかかわらず、必ず遮光袋に入れて保管してください。
6.開封前は冷蔵庫などの冷所で保管してください。開封後は1ヵ月以内であれば室温で保管できますが、1ヵ月以上経過した場合は新しいものに取り換えてください。
7.視力の低下、見えづらい、眼のかすみなどの症状が現れたら、すぐに医師の診療を受けてください。

【ここがポイント!】
本剤は世界初の選択的EP2受容体作動薬で、副作用などにより既存の緑内障・高眼圧症治療薬の使用が難しかった患者さんでも使用しやすい薬剤として期待されています。
本剤の有効性は、FP受容体作動薬であるラタノプロスト群との比較試験において、非劣性が認められています。一方、ラタノプロスト群に比べて高頻度で結膜充血の副作用が見られました。また、眼内レンズ挿入患者で嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫が報告されているため、眼内レンズを挿入している患者さんには禁忌となっています。本剤を初回処方された患者さんには、白内障手術歴の確認を忘れないようにしましょう。
現在、緑内障・高眼圧症治療において、プロスタグランジン関連薬やβ遮断点眼薬が第1選択薬となっていますが、プロスタグランジン関連薬では、虹彩への色素沈着やまつげ・まぶたの多毛など、外見に影響する副作用が報告されており、β遮断点眼薬では呼吸器系・循環器系における全身性の副作用に対する懸念があります。本剤は、従来の治療薬に抵抗性を示した患者さんや、副作用に悩まされていた患者さんへの新しい選択肢となりうるでしょう。
8. 製造販売元など
製造販売元:参天製薬株式会社
お問合せ先:参天製薬株式会社 医薬事業部 医薬情報室 0120-921-839
(文責 下平秀夫) 2019年3月