漢方に関係あるHPの紹介
by shimo
一般の医療関係者にとって「漢方」とは、よく聞く言葉ではあるが、実際は雲をつかむような、存在ではないだろうか。筆者は漢方の専門家ではないので、HP紹介に際して適切な選択ができるか疑問ではあるが、漢方の素人の医療職にとって実用的と思われる漢方関連のサイトの紹介をさせていただく。
1-1近畿大学東洋医学研究所ホームページ
このサイトは漢方で治った症例、漢方に関するFAQ、漢方に関する質問の受付、附属診療所紹介、新しい漢方理論「近代漢方」の紹介、漢方文献検索などが提供されている。症例集では、近畿大学東洋医学研究所での症例を呈示されている。しかし、病気と特定の薬方を機械的に一対一対応させて考えないようにと注意をうながしている。
1-2漢方文献検索
(近畿大学東洋医学研究所)
日本の漢方に関する3誌「漢方と漢薬」「漢方の臨床」「日本東洋医学会雑誌」から、代表的な症例報告を簡単な要約付きで収載している。文献の網羅を目的としたものではなく、処方選定並びに文献検索の助けとなることを目的としている。疾患名、著者名、処方名のいずれかまたは複合して検索できる。
評価は以下の基準でなされている。
☆☆☆☆ 1.客観的なデータがあり、2.長期的な予後もフォローアップされている
☆☆☆ 1,2のいずれかを満たしている
☆☆ 1,2とも満たしていないが十分な情報量がある
☆ お話程度
1-3進行癌の腹水に五れい散を投与した例(近畿大学東洋医学研究所
)
近畿大学東洋医学研究所の症例集の一例。臨床経過とともに写真が掲載されている。入院時腹部がパンパンに腫上がっていたが、輸液と漢方薬により、尿量増加し腹水が減少したとのこと。皮膚科疾患が比較的多く掲載されているが、画像データがあって説得力があると思われるからとのことである。
2-1日本臨床漢方医会ホームページ
2-2漢方の基礎知識 (日本臨床漢方医会)
掲載項目は
1. 「漢方」は日本生まれ?
2. 生薬(しょうやく)のすぐれた組み合わせが漢方
3. 漢方は自己治癒力を強化する
4. 漢方薬の種類(剤形)
5. 漢方薬の名前の由来
6. 漢方治療を受ける際の食事上の注意
である。
漢方というのは、古代中国の医療をもとにして、日本人に合うように日本的な改良がなされたもので、現在中国で行なわれている伝統医療(「中医学」という)とは多少違うと解説している。
2-3全国臨床漢方医リスト(日本臨床漢方医会)
名簿公開に同意した会員(50音順)の名簿が掲載されている。氏名、専門科目、勤務先名、勤務先住所、電話番号、最寄り駅。会員のHPへのリンクもある。
3-1羔羊斎 古医道研究所
漢方薬の基礎的な説明から専門的な知識までを紹介しているWEBサイト。そのほか漢方関連リンクなどがある。
漢方基礎講座、漢方知識応用編
、質疑録、治験録、処方録、漢方煎じ薬処方集
煎じ薬の処方集、原典にみる葛根湯、傷寒論をあなたのパソコンへなど多彩な内容を提供している。
3-2漢方入門 薬学生用
(羔羊斎)
小松一学氏が、京都薬大にて漢方入門の講義をしたときの基本資料が転載されている。
3-3傷寒論をあなたのパソコンへ
(羔羊斎)
提供宮崎厚仁堂の横山知史氏に提供された内容である。
漢方を学習するとき、流派に関わらず古典の研究は必要不可欠な分野である。しかし、パソコンやワープロを使ってノート作りをしようとすると、“漢字がない"という障害がある。。そこで外字を作成するが、他人と情報交換をする場合、外字を登録している場所(コード番号)がお互いに違うため、文字が部分的に入れ替わってしまう。 そこで、これを解決するためのユニコードを掲載している。
4-1 名称別分類
生薬名別分類 -薬草大辞典 (自然健康研究会)
自然健康研究会ホームページ
生薬の基本情報のデータベース。名称別分類と生薬名分類のページである。他に用途別分類のページもある。掲示板では、質問者にしっかりと丁寧に答えている印象を受ける。
雑感
漢方関連のホームページでは、他の分野にはみられない特徴がある。それはリンク集が発達していないことである。これは、まだ漢方を扱う者どうしの交流が少ないことに起因しているのかもしれない。また、中医学関連の商用ホームページが発達していることがあげられる。
近畿大学東洋医学研究所の漢方文献データベースや臨床経過を含んだ漢方使用例は大変利用価値の高いものではないかと思われる。また、羔羊斎(古医道研究所)は私的サイトでありながら、これから漢方薬局を志す者などに大変示唆を与える、情熱のあるサイトと思われる。