読書感想文

さよなら銀河鉄道999

 この物語は、漫画の「銀河鉄道999」で主人公の星野鉄郎が地球を離れて、地球に戻って来てから2年後の話から始まります。そこでは人間と機械化兵との死闘が繰り広げられ、鉄郎は毎日、数人の仲間と一緒に機械化兵と戦っていました。機械兵には平和や、おもいやり、妥協という思考を持たず、そのため人間と理解しあうことができませんでした。しかし、僕は人間は、人間同士を思いやる心は強いけれど、他の動物や、植物や地球環境に対する思いやりが少ないと思う。だから、人間も機械人間も大差ないのではないかと思った。戦争とは、どちらが悪いということで始まるものではなく、お互いの不理解のため不幸にして始まるものだと思います。ある日、鉄郎のもとにメッセージカードが届けられました。これには「私はメーテル。鉄郎、銀河鉄道999に乗りなさい」と録音されていました。メーテルは機械伯爵に殺された鉄郎の母にそっくりな女性です。鉄郎はメガロポリスという銀河鉄道の発車駅へ行くことにしました。仲間達は自分達の命を犠牲にしてくれて、鉄郎はやっとメガロポリスにたどり着く事ができました。人のために死ぬ、それも一人の人のために何人もが、このことに感動もしましたが、また少し違和感も感じました。しかし、銀河鉄道に乗ってみるとメーテルは乗車していませんでした。メーテルは、会いたい時にいないのに、突然現れたりしました。せっかくメーテルに会えたのに優しいときもあれば妙に冷たいこともありました。旅の途中で黒騎士にあいました。黒騎士は「人間は、死ねばすべて終わるのだ。」といって機械人間になって永遠の命を手に入れることを勧めました。しかし鉄郎は「俺の体には父や母の血が流れているんだ。」と言いました。実は黒騎士は鉄郎の父でしたがこのとき鉄郎はまだ気がついていませんでした。その後、最終駅の惑星大アンドロメダに到着しました。どこからともなく「メーテル様女王陛下バンザイ」と言う声が聞こえてきました。驚いた事に自分の一番好きな人が、一番憎むべき機械化帝国の女王の娘だったのです。鉄郎は大変ショックを受けました。唯一信頼していたメーテルに裏切られた気持ちは想像に絶するものがあったことでしょう。最終的に、メーテルの母は死に、メーテル自身が機械化帝国を滅亡させました。鉄郎は父である黒騎士を倒し、メーテルも鉄郎もひとりぼっちになってしまいました。鉄郎は機械人間になることを否定しました。「限りある命を燃しつくしたほうがいい。」「永遠の命はいらない。」と心の中で叫んでいました。この時、僕は、鉄郎がメガロポリスに行く時の仲間達も、自分が信じる目的に向かって限りある命を燃やしたかったのだと思いました。キャプテンハーロックは、鉄郎が困った時に時々助けてくれたり、心強い助言をしてくれた人物です。彼は鉄郎に「人間の赤い血は親から子へ、またその子へと流れ流れて永遠に続いていく。それが本当の命だ」といいました。僕は、作者が機械人間になって永遠に行きつづけることが「永遠の命」なのでなく、たとえ短い命でも、一生懸命生きて、その志を子孫に伝えていくことこそが「永遠の命」であるといいたかったのではないかと思いました。この「銀河鉄道999」は空想の物語ではあるけれど、愛するものを大切にする心や、かけがえのない命について考える機会を僕に与えてくれたと思います。

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